問6 雇入れ時の安全衛生教育に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか
(1)常時使用する労働者が 10 人未満である事業場では、教育を省略することができる。
(2)1か月以内の期間を定めて雇用する者については、危険又は有害な業務に従事する者を除き、教育を省略することができる。
(3)すべての業種において、「作業手順に関すること」についての教育を省略することはできない。
(4)旅館業の事業場においては、「作業開始時の点検に関すること」についての教育を省略することができる。
(5)教育を行ったときは、教育の受講者、科目等の記録を作成し、1年間保存しなければならない。
※ 本問は、出題の後に省令改正があり、元の公表問題のままでは正答となるものがなくなったので、省令改正に合わせて一部修正を行った。
このページは、試験協会が2021年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年04月公表問題 | 問06 | 難易度 | 雇入れ時の安全衛生教育に関する基本的な問題。なお、一部の肢は省令改正によって意味がなくなっている。 |
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雇入れ時の安全衛生教育 | 3 |
問6 雇入れ時の安全衛生教育に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか
(1)常時使用する労働者が 10 人未満である事業場では、教育を省略することができる。
(2)1か月以内の期間を定めて雇用する者については、危険又は有害な業務に従事する者を除き、教育を省略することができる。
(3)すべての業種において、「作業手順に関すること」についての教育を省略することはできない。
(4)旅館業の事業場においては、「作業開始時の点検に関すること」についての教育を省略することができる。
(5)教育を行ったときは、教育の受講者、科目等の記録を作成し、1年間保存しなければならない。
※ 本問は、出題の後に省令改正があり、元の公表問題のままでは正答となるものがなくなったので、省令改正に合わせて一部修正を行った。
正答(3)
【解説】
本問は、(3)~(5)は雇入れ時の科目省略に関するものである。本問公表時には、特定の業種については、雇入れ時の教育の一部の科目が省略できることが安衛則第 35 条第1項但書に規定されていたのである。
しかし、現時点では省令改正により同但書が削除され、すべての業種について雇入れ時の科目省略はできなくなっている。従って、今後、この種の肢は出題されないと考えてよい(※)。
※ 雇入れ時の教育についての科目と、すべての業種について科目の省略ができなくなっていることは、覚えておくこと。
(1)誤り。雇入れ時の教育について定めた安衛法第 59 条第1項及び安衛則第35条は、事業場規模によって雇入れ時の教育科目を省略してよいとは定めていない。災害の多くは中小零細な事業場で発生しており、零細企業に対して雇入れ時の教育を省略することは認めていないのである。
(2)誤り。安衛法第 59 条及び安衛則第 35 条は、短期間の労働者には雇入れ時の教育を行わなくてもよいとはしていない。短期雇用の労働者であっても、労働災害に遭わせてはいけないことに変わりはない。教育の必要性がないはずがなかろう。
(3)正しい。本肢は公表時の出題文は「飲食店の事業場においては、「作業手順に関すること」についての教育を省略することができる。」とされて、正しい肢であった(※)。
※ 出題当時、飲食店の事業場は(安衛令第2条第一号又は第二号に規定されていないので)、当時の科目省略の対象業種であり、「作業手順に関すること」については省略することができた。
現在は、冒頭に解説したように、改正により雇入れ時の教育科目の省略を定めていた安衛則第 35 条第1項但書が削除されたので、すべての業種について省略することができなくなっている(※)。
※ もちろん、その企業において全く必要のない事項について教育を行う必要はない。
(4)誤り。本肢の公表時においては、旅館業の事業場は(安衛令第2条第一号又は第二号に規定されているので)当時としても教育科目が省略できる業種ではなく、「作業開始時の点検に関すること」を含めて全ての項目について省略することができなかった。
現在は、(3)の解説に示したように、改正により、すべての業種について省略することができなくなっているので、誤りの肢であることに変わりはない。
(5)誤り。安衛則には、雇入れ時の安全衛生教育の結果の記録についての規定はない。なお、特別教育については安衛則第38条に3年間の保存が義務付けられているので、この機会に覚えておこう。
【労働安全衛生法】
(安全衛生教育)
第59条 事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
3 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)
第2条 (柱書 略)
一 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 百人
二 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 三百人
三 その他の業種 千人
【労働安全衛生規則】
(雇入れ時等の教育)
第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。
一 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
二 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
三 作業手順に関すること。
四 作業開始時の点検に関すること。
五 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
六 整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
七 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
八 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
2 事業者は、前項各号に掲げる事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該事項についての教育を省略することができる。
※ 安衛則第35条第1項は、本問出題当時は下記のように但書があったが、2024年(令和6年)4月1日より改正により、上記のように但書が削除されている。
(雇入れ時等の教育)
第35条 事業者は、労働者を雇い入れ、又は労働者の作業内容を変更したときは、当該労働者に対し、遅滞なく、次の事項のうち当該労働者が従事する業務に関する安全又は衛生のため必要な事項について、教育を行なわなければならない。ただし、令第二条第三号に掲げる業種の事業場の労働者については、第一号から第四号までの事項についての教育を省略することができる。
一~八 (修正なし)
2 (修正なし)