問5 労働安全衛生法に基づく心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)の結果に基づき実施する医師による面接指導に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)面接指導を行う医師として事業者が指名できる医師は、当該事業場の産業医に限られる。
(2)面接指導の結果は、健康診断個人票に記載しなければならない。
(3)事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者であって、面接指導を受ける必要があると当該ストレスチェックを行った医師等が認めたものが面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、面接指導を行わなければならない。
(4)事業者は、面接指導の対象となる要件に該当する労働者から申出があったときは、申出の日から3か月以内に、面接指導を行わなければならない。
(5)事業者は、面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するため必要な措置について、面接指導が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければならない。
このページは、試験協会が2021年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年04月公表問題 | 問05 | 難易度 | ストレスチェックの結果に基づく面接指導は前回に続き2回目。基本的な内容。正答しておきたい。 |
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面接指導 | 4 |
問5 労働安全衛生法に基づく心理的な負担の程度を把握するための検査(以下「ストレスチェック」という。)の結果に基づき実施する医師による面接指導に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)面接指導を行う医師として事業者が指名できる医師は、当該事業場の産業医に限られる。
(2)面接指導の結果は、健康診断個人票に記載しなければならない。
(3)事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者であって、面接指導を受ける必要があると当該ストレスチェックを行った医師等が認めたものが面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、面接指導を行わなければならない。
(4)事業者は、面接指導の対象となる要件に該当する労働者から申出があったときは、申出の日から3か月以内に、面接指導を行わなければならない。
(5)事業者は、面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するため必要な措置について、面接指導が行われた日から3か月以内に、医師の意見を聴かなければならない。
正答(3)
【解説】
(1)誤り。安衛法第66条の10第3項は、ストレスチェックの結果、一定の要件を満たす労働者で申し出を行った者に対して、医師による面接指導を行わなければならないとするが、産業医によらなればならないとはされていない。そもそも産業医でなければならないとすれば、50人未満の事業場においてはストレスチェックができなくなってしまうではないか。
なお、「『心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針』について」(平成27年5月1日基発0501第7号)において、「面接指導は当該事業場の産業医等が実施することが望ましい
」とされている。これは、50人未満の事業場においてはストレスチェックが努力義務とされていることも念頭において書かれている。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2 (略)
3 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
4~9 (略)
(2)誤り。面接指導の結果は、安衛則第52条の18により記録を作成して保存しておかなければならない。しかし、この記録は、同規則第51条に基づく健康診断個人票とは別なものである。
【労働安全衛生規則】
(健康診断結果の記録の作成)
第51条 事業者は、第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第四十八条までの健康診断若しくは法第六十六条第四項の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第五項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第四十三条等の健康診断」という。)又は法第六十六条の二の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票(様式第五号)を作成して、これを五年間保存しなければならない。
(面接指導結果の記録の作成)
第52条の18 事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを五年間保存しなければならない。
2 前項の記録は、前条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載したものでなければならない。
一~四 (略)
(3)正しい。安衛法第66条の10第3項(及び安衛則第52条の15)により、事業者は、ストレスチェックの結果、心理的な負担の程度が高い労働者であって、面接指導を受ける必要があると当該ストレスチェックを行った医師等が認めたものが面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、面接指導を行わなければならない。
【労働安全衛生法】
(心理的な負担の程度を把握するための検査等)
第66条の10 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
2 (略)
3 事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。
4~9 (略)
【労働安全衛生規則】
(面接指導の対象となる労働者の要件)
第52条の15 法第六十六条の十第三項の厚生労働省令で定める要件は、検査の結果、心理的な負担の程度が高い者であつて、同項に規定する面接指導(以下この節において「面接指導」という。)を受ける必要があると当該検査を行つた医師等が認めたものであることとする。
(4)誤り。安衛則第52条の16は、面接指導の対象となる要件に該当する労働者から申出があったときは、遅滞なく面接指導を行わなければならないとしている。
この「遅滞なく」の意味について、「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令等の施行について(心理的な負担の程度を把握するための検査等関係)」(平成27年5月1日基発0501第3号)は記の第3の4の「(2)面接指導の実施方法等(第52条の16関係)」のハにおいて「第2項の「遅滞なく」とは、申出後、概ね1月以内をいうこと
」としている。
この場合、3か月では「遅滞なく」とはいえないということである。
【労働安全衛生規則】
(面接指導の実施方法等)
第52条の16 法第六十六条の十第三項の規定による申出(以下この条及び次条において「申出」という。)は、前条の要件に該当する労働者が検査の結果の通知を受けた後、遅滞なく行うものとする。
2 事業者は、前条の要件に該当する労働者から申出があつたときは、遅滞なく、面接指導を行わなければならない。
3 (略)
(5)誤り。事業者は、面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するため必要な措置について、面接指導が行われた後、遅滞なく医師の意見を聴かなければならない。
3箇月では、遅滞なくとは言えない。「労働安全衛生法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令等の施行について(心理的な負担の程度を把握するための検査等関係)」(平成27年5月1日基発0501第3号)は記の第3の4の「(5)面接指導の結果についての医師からの意見聴取(第52条の19関係)」のイにおいて「意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行われる必要があるが、遅くとも面接指導を実施してから概ね1月以内に行うこと
」としている。
【労働安全衛生規則】
(面接指導の結果についての医師からの意見聴取)
第52条の19 面接指導の結果に基づく法第六十六条の十第五項の規定による医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、遅滞なく行わなければならない。