問4 労働安全衛生規則に規定されている医師による健康診断について、法令に違反しているものは次のうちどれか。
(1)雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者がその健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略している。
(2)雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、35 歳及び 40 歳の者並びに45歳以上の者に対しては、1,000 Hz及び4,000 Hzの音について行っているが、その他の年齢の者に対しては、医師が適当と認めるその他の方法により行っている。
(3)海外に6か月以上派遣して帰国した労働者について、国内の業務に就かせるとき、一時的な就業の場合を除いて、海外派遣労働者健康診断を行っている。
(4)常時 50 人の労働者を使用する事業場において、雇入時の健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行っていない。
(5)常時 40 人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行っていない。
このページは、試験協会が2021年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年04月公表問題 | 問04 | 難易度 | 安衛則に基づく健康診断に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない問題。 |
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健康診断(全般) | 2 |
問4 労働安全衛生規則に規定されている医師による健康診断について、法令に違反しているものは次のうちどれか。
(1)雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者がその健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略している。
(2)雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、35 歳及び 40 歳の者並びに 45歳 以上の者に対しては、1,000 Hz及び 4,000 Hzの音について行っているが、その他の年齢の者に対しては、医師が適当と認めるその他の方法により行っている。
(3)海外に6か月以上派遣して帰国した労働者について、国内の業務に就かせるとき、一時的な就業の場合を除いて、海外派遣労働者健康診断を行っている。
(4)常時 50 人の労働者を使用する事業場において、雇入時の健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行っていない。
(5)常時 40 人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行っていない。
正答(2)
【解説】
(1)違反とはならない。安衛則第43条第1項但書により、雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略することができる。
【労働安全衛生規則】
(雇入時の健康診断)
第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一~十一 (略)
(2)違反している。安衛則第43条(第三号)により、雇入時の健康診断の項目のうち聴力の検査は、年齢にかかわらず 1,000Hz 及び 4,000Hz の音について行わなければならない。一般の定期健康診断とは異なり、特定の年齢の者に対して、医師が適当と認めるその他の方法により行うことは許されない(※)。
※ 一般の定期健康診断では、安衛則第44条第4項により、聴力検査について、一部、医師が適当と認める方法で行うことを認めているが、年齢にかかわらず 1,000Hz 及び 4,000Hz の音については省略できない。従って、定期健康診断の場合であっても、本肢は違反となる。
【労働安全衛生規則】
(雇入時の健康診断)
第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一及び二 (略)
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第一項第三号において同じ。)の検査
四~十一 (略)
(3)違反とはならない。安衛則第45条の2第2項の条文の通りである。
【労働安全衛生規則】
(海外派遣労働者の健康診断)
第45条の2 (略)
2 事業者は、本邦外の地域に6月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、第44条第1項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
3及び4 (略)
(4)違反とはならない。雇入時の健康診断の結果については報告を行わなければならないとする規定はない。
なお、安衛則第 52 条の規定により、常時 50 人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果については、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告を行わなければならない(※)
※ 条文は(5)の解説を参照されたい。
(5)違反とはならない。安衛則第52条の規定により、常時 40 人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果について、所轄労働基準監督署長に報告を行う義務はない。
【労働安全衛生規則】
(健康診断結果報告)
第52条 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条又は第45条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 事業者は、第48条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書(様式第六号の二)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
※ 安衛則第52条は、出題当時は以下の通りであった。2022年10月1日施行の法令改正により上記のようになっているが、本問の正誤とは関係がない。
(健康診断結果報告)
第52条 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条、第45条又は第48条の健康診断(定期のものに限る。)を行なつたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
※ また、本条は2024年1月1日より改正されるが、報告の方法に関する改正であり、本問の正誤には影響を与えない。