問21 呼吸に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)呼吸運動は、呼吸筋が収縮と弛緩をすることによって胸郭内容積を周期的に増減し、それに伴って肺を伸縮させることにより行われる。
(2)胸郭内容積が増し、内圧が低くなるにつれ、鼻腔、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。
(3)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換を外呼吸という。
(4)通常の呼吸の場合の呼気には、酸素が約16%、二酸化炭素が約4%、それぞれ含まれる。
(5)身体活動時には、血液中の窒素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。
このページは、試験協会が2019年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2019年10月公表問題 | 問21 | 難易度 | 呼吸に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。 |
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呼吸器系 | 3 |
問21 呼吸に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)呼吸運動は、呼吸筋が収縮と弛緩をすることによって胸郭内容積を周期的に増減し、それに伴って肺を伸縮させることにより行われる。
(2)胸郭内容積が増し、内圧が低くなるにつれ、鼻腔、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。
(3)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換を外呼吸という。
(4)通常の呼吸の場合の呼気には、酸素が約16%、二酸化炭素が約4%、それぞれ含まれる。
(5)身体活動時には、血液中の窒素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。
正答(5)
【解説】
(1)正しい。呼吸運動は、胸郭内容積を周期的に増減することによって、肺を伸縮させて行うことはとくに問題はないであろう。そして、古典的な考え方においては、呼吸筋は、①横隔膜、②肋間筋及び胸壁の筋、③腹筋、④呼吸補助筋、並びに⑤上気道の筋に分類される。
(2)正しい。胸郭内容積が増し、内圧が低くなるにつれ、鼻腔、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。当たり前のことを言っている。日本語の問題に過ぎない。
(3)正しい。肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、外呼吸である。なお、内呼吸とは、血液と体内の組織細胞の間における、酸素と二酸化炭素の交換のことである。
(4)正しい。呼気中の酸素濃度と二酸化炭素濃度は状況によって多少は異なるが、誤りとは言えない。なお、呼気中の酸素濃度と二酸化炭素濃度を単純に合計しても21%(大気の酸素濃度)にはならないが、これは間違いではない。また、肺胞中の酸素濃度は呼気中の酸素濃度よりも低く、二酸化炭素濃度は肺胞中の方が高くなる。
(5)誤り。身体活動時には、血液中の二酸化炭素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。これも当然のことである。呼吸とは、外部の酸素を取り入れて、体内の炭素等を「燃焼」させてエネルギーを取り出し、生成した二酸化炭素等を体外に排出する活動である。従って、体内に二酸化炭素が増えてくると、呼吸を活発にする必要がある。窒素は関係がない。
- (1):宮川哲夫「呼吸筋の運動学・生理学とその臨床応用」(理学療法学 第21巻第8号 1994年)を参照した。