第2種衛生管理者試験 2019年4月公表 問16

一次救命処置




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合格

 このページは、試験協会が2019年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年04月公表問題 問16 難易度 一次救命処置に関する問題は、基本を押さえておけば確実に正答できる。落とさないようにしよう。
一次救命措置等

問16 一次救命処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)傷病者の反応がない場合は、その場で大声で叫んで周囲の注意を喚起し、協力者を確保する。

(2)周囲に協力者がいる場合は、119番通報やAED(自動体外式除細動器)の手配を依頼する。

(3)口対口人工呼吸は、傷病者の気道を確保してから鼻をつまみ、1回の吹き込みに約3秒かけて傷病者の胸の盛り上がりが見える程度まで吹き込む。

(4)胸骨圧迫は、胸が約5cm沈む強さで、1分間に100~120回のテンポで行う。

(5)AEDを用いた場合、心電図の自動解析の結果「ショックは不要です」などのメッセージが流れたときには、胸骨圧迫を開始し心肺蘇生を続ける。

正答(3)

【解説】

本問は、JRC蘇生ガイドライン(以下、本問の解説中において「ガイドライン」という。)からの出題である。

JRC蘇生ガイドラインは、2010年版、2015年版、2020年版と改訂されている。内容は、それほど大きくは変わっていないが、胸骨圧迫のテンポが、2010年版で「少なくとも100回/分」となっていたが、2015年版から「100~120回/分」に変更されるなどいくつか重要な改定がある。

(1)正しい。ガイドライン「第1章 一次救命処置(BLS)」の「2 BLSのアルゴリズム」では、被災者の反応を確認し、被災者の反応がなければ「大声で叫んで周囲の注意を喚起し、周囲の者に 119 番通報とAEDの手配(近くにある場合)を依頼する」とされている。

ただ、ガイドラインの内容を知らなくても、常識で判断すれば正しいと分かる。緊急を要するような災害では、救急車の要請など、やるべきことは多い。一人で行っていたのでは肝心の救命措置がおろそかになる。大声で叫んで周囲の注意を喚起し、協力者を確保することが間違っているはずがないだろう。

(2)正しい。(1)の解説に示した通りである。他人に任せられることは、分担して任せた方がよいことは当然である。なお、119番通報やAEDの手配は、「誰かやってくれ」という依頼ではなく、明確に指名して依頼する。そうしないと誰もやってくれない。

(3)誤り。口対口人工呼吸は、1回の送気(呼気吹込み)は約1秒かけて行う。なお、1回換気量の目安は人工呼吸によって傷病者の胸の上がりを確認する程度とする。なお、傷病者の気道を確保してから鼻をつまむことは正しい。

なお、口対口人工呼吸は、人工呼吸方法の訓練を受けていない場合、人工呼吸用のマウスピース等がない場合、及び血液や嘔吐物などにより感染危険がある場合は避ける必要がある。

また、試験とは別な話だが、試験合格後に衛生管理者として仕事をするときには「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた市民による救急蘇生法について(指針)」に留意すること。

(4)正しい。ガイドラインでは、成人の場合、胸骨圧迫は「深さは胸が約 5cm 沈むように圧迫するが、6cmを超えないようにする。圧迫のテンポは1分間あたり100~120回のテンポで圧迫する」とされている。

(5)正しい。電気ショックの必要性はAEDが判断する。なお、心電図解析中は被災者に触れないこと。

2020年08月23日執筆 2022年10月16日最終改訂