第2種衛生管理者試験 2019年4月公表 問05

長時間労働者への面接指導の記録




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合格

 このページは、試験協会が2019年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年04月公表問題 問05 難易度 面接指導に関するかなり高度な内容である。かなり学習が進んでいないと正答は難しいかもしれない。
長時間労働者の面接指導

問5 労働時間の状況等が一定の要件に該当する労働者に対して、法令により実施することとされている医師による面接指導の結果に基づく記録に記載しなければならない事項として定められていないものは、次のうちどれか。

(1)面接指導を行った医師の氏名

(2)面接指導を受けた労働者の氏名

(3)面接指導を受けた労働者の家族の状況

(4)面接指導を受けた労働者の疲労の蓄積の状況

(5)面接指導の結果に基づき、労働者の健康を保持するために必要な措置について医師から聴取した意見

正答(3)

【解説】

長時間労働者に対する面接指導は、安衛法第66条の8第1項によって義務付けられ、その結果の記録は同第3項によって義務付けられている。その記録すべき事項は、安衛則第52条の6第2項によって定められている。

もし、条文を覚えていなければ、その労働者の健康管理に最も関係が薄いものを選べばよい。ある程度、産業保健に関する「感覚」が備わっていれば(3)があやしいと気付けるかもしれない。

【労働安全衛生法】

(面接指導等)

第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。

 (略)

 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第1項及び前項ただし書の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。

 事業者は、第1項又は第2項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。

 (略)

【労働安全衛生規則】

(労働者の希望する医師による面接指導の証明)

第52条の5 (柱書 略)

 実施年月日

 当該労働者の氏名

 法第六十六条の八の面接指導を行つた医師の氏名

 当該労働者の疲労の蓄積の状況

 前号に掲げるもののほか、当該労働者の心身の状況

面接指導結果の記録の作成

第52条の6 事業者は、面接指導(中略)の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを五年間保存しなければならない。

 前項の記録は、前条各号に掲げる事項及び法第66条の8第4項の規定による医師の意見を記載したものでなければならない。

※ 安衛則第52条の5は、出題当時は以下のようになっていた。省令改正により現在は上記のようになっているが、形式的な改正であり本問の正誤とは関係がない。

第52条の5 (柱書 略)

一及び二 (変更なし)

 面接指導を行つた医師の氏名

四及び五 (変更なし)

(1)正しい。安衛則第 52 条の6第2項が準用する同第 52 条の5第三号に定められている。どの医師が面接指導を行ったかが分からなければ、後で事業主がその趣旨を尋ねたくなったときに困るだろう。

(2)正しい。安衛則第 52 条の6第2項が準用する同第 52 条の5第二号に定められている。そもそも労働者の名前がなければ、記録を健康管理に使えないだろう。労働者の名前を記録しなくてどうしようというのだ。

(3)誤り。法令に定めがない。家族の状況が分かった方が良いことは間違いないだろうが、家族の状況は他の記録からでも分かるだろう。

(4)正しい。安衛則第 52 条の6第2項が準用する同第 52 条の5第四号に定められている。面接指導を受けた労働者の疲労の蓄積の状況は、重要なデータである。記録しなくてどうする!

(5)正しい。安衛則第 52 条の6第2項に定められている。せっかく意見を聴いたのだから、記録を残しておいて健康管理に使わなければ意味がないだろう。

2020年08月22日執筆