問28 ホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
ホルモン | 内分泌器官 | はたらき | |||
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(1) | コルチゾール | 副腎皮質 | 血糖量の増加 | ||
(2) | メラトニン | 副腎髄質 | 体液中の塩類バランスの調節 | ||
(3) | パラソルモン | 副甲状腺 | 体内のカルシウム量の調節 | ||
(4) | インスリン | 膵臓 | 血糖量の減少 | ||
(5) | グルカゴン | 膵臓 | 血糖量の増加 |
このページは、試験協会が2018年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年10月公表問題 | 問28 | 難易度 | 一見すると高度な内容のように見えるが、実は常識問題である。確実に正答できなければならない。 |
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内分泌器官 | 2 |
問28 ホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
ホルモン | 内分泌器官 | はたらき | |||
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(1) | コルチゾール | 副腎皮質 | 血糖量の増加 | ||
(2) | メラトニン | 副腎髄質 | 体液中の塩類バランスの調節 | ||
(3) | パラソルモン | 副甲状腺 | 体内のカルシウム量の調節 | ||
(4) | インスリン | 膵臓 | 血糖量の減少 | ||
(5) | グルカゴン | 膵臓 | 血糖量の増加 |
正答(2)
【解説】
ホルモンは内分泌器官で合成され、血管内に直接分泌されて体内に送られる。内分泌器官としては、視床下部、下垂体(脳下垂体)、松果体、副腎(皮質、髄質)、甲状腺、副甲状腺、膵臓、生殖腺(卵巣、胎盤、精巣)、消化管が挙げられる。ホルモンの種類はきわめて多いが、主要なものは押さえておいた方が良い。
(1)正しい。本肢のコルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれ、ストレスがかかったときに分泌される。一般には、ストレスがかかった状態では、血糖値を上げて血圧を高くして身体にエネルギーを送り、外部の状況に対処できるようにした方が良い。そのため、コルチゾールには血糖値を上げる作用がある。
なお、血糖値を上昇させる作用があるホルモンには、この他、副腎皮質ホルモンであるアルドステロン、副腎髄質ホルモンであるカテコールアミン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、グルカゴン、ソマトスタチンなど多くの種類がある。これらは、肝臓の糖新生を促進する作用があり、血糖値を上昇させる。
一方、血糖値を下げるホルモンはインスリンしかない。
(2)誤り。メラトニンは「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、自然な眠りを誘う作用がある。脳の中心部にある松果体から分泌される。
朝、光を浴びると分泌が止まり、14~16時間経つと再び分泌される。概日リズムを整える働きがある。
なお、体液中の塩類バランスの調節の役割を持つホルモンは「坑利尿ホルモン」である。
(3)正しい。パラソルモンは副甲状腺ホルモンで、様々な働きをするが、骨の再吸収により血清カルシウムを上昇させる働きなどがある。
(4)正しい。まず、インスリンが膵臓(ランゲルハンス島)で分泌されることは正しい。そして、その役割は、臓器が血糖をエネルギーやタンパク質の合成などに利用して血糖濃度の増加を押さえることである。ドラマや映画などで糖尿病の患者がインスリンの注射を打っているシーンを見かけることがあるが、これは血糖値を下げるためである。
(5)正しい。まず、グルカゴンは膵島のα細胞で作られる。そして、グルカゴンは血糖量の増加の作用を有する。