第2種衛生管理者試験 2018年10月公表 問12

職場の採光、照明など




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合格

 このページは、試験協会が2018年10月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年10月公表問題 問12 難易度 照明、採光等に関する基本的な知識問題である。確実に正答できるようにしておこう。
照明、採光等

問12 採光、照明などに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)部屋の彩色に当たり、目の高さから上の壁及び天井は、まぶしさを防ぐため濁色にするとよい。

(2)室内の彩色で、明度を高くすると光の反射率が高くなることから照度を上げる効果があるが、彩度を高くしすぎると交感神経の緊張を招き、長時間にわたる場合は疲労が生じやすい。

(3)照度の単位はルクスで、1ルクスは光度1カンデラの光源から 10m離れた所で、その光に直角な面が受ける明るさに相当する。

(4)前方から明かりをとるとき、目と光源を結ぶ線と視線とが作る角度は、30°未満になるようにする。

(5)作業室全体の照度は、作業面の局部照明による照度の 10%未満になるようにする。

正答(2)

【解説】

(1)誤り。部屋の彩色として、目より上方の壁や天井は明るい色を用い、目の高さ以下はまぶしさを防ぎ安定感を出すために濁色にするとよい。

なお、山津(※1)によると、適当なる明度対比として、天井:8.0~9.0、側壁:6.5~8.0、腰羽目:5.0~6.0、床:4.5という米国の基準を紹介している。

(2)正しい。彩度とは色の鮮やかさの度合いであり、明度とは色の明るさ度合いである。明度を高くすると光の反射率が高くなることから照度を上げる効果があるが、彩度を高くしすぎると交感神経の緊張を招き、長時間にわたる場合は疲労が生じやすい。

(3)誤り。1ルクス(lx)は、1カンデラ(cd)の光源から、1m離れた所において、光軸に垂直な面が受ける明るさをいう。

(4)誤り。視野の中に輝度の高い光源があれば、目が疲労し不快感を感じるばかりか、物が見えにくくなる。これがグレア(まぶしさ)である。視線を中心として上下30°の範囲はグレアゾーンと呼ばれ、この範囲には輝度の高い光源をなくすのが照明の基本とされている。

(5)誤り。近年、省エネのために、全般照明の明るさを落として、作業面に局部照明を併用することで、電力を節約するタスクアンドアンビエント照明方式が広く用いられている。ただ、作業面における水平面照度の変化は、出来るだけ小さいことが望ましい。

かつての衛生管理者の試験では、「全般照明の明るさは局部照明の10分の1以上が望ましい」として正しい肢であるとされていたが、この数値はやや低すぎる。近年の試験問題では「5分の1の方が望ましい」として正答とされている例がある。いずれにせよ、10%未満は明らかに誤りである。

なお、JISZ9110:2010(照明基準総則)によると、部屋全般に平均100(lx)、作業面(情報端末ディスプレイを除く)に局部的に750(lx)が推奨されている。この場合、作業面周辺は200~300(lx)程度の明るさになると想定され、作業面周辺と作業面の照度比はおよそ1:3になる。

また、明石他(※2)によると、「伝票処理などの一般的な事務作業の場合、周辺照度/作業面照度の比が1.0、0.33、0.1のうち、1.0の照明条件下で最も集中でき、企画などの思考を伴う作業の場合、0.1の照明条件で最も集中できることを明らかにした」とされている。

※1 山津幸夫「色彩調節の実施とその効果その1(工場と事務室)」(照明学会雑誌 第26巻 第7号 1952年)

※2 明石行生他「作業者の集中度と周辺照度/作業面照度の比との関係」(照明学会誌 第80巻 第8A号 1996年)

2020年08月27日執筆