第2種衛生管理者試験 2018年4月公表 問24

消化器系




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合格

 このページは、試験協会が2018年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年04月公表問題 問24 難易度 栄養素の消化・分解は産業保健との関係性は低いが、確実に正答できる問題が出される。
消化器系

問24 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)三大栄養素のうち糖質はブドウ糖などに、蛋白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに、酵素により分解されて吸収される。

(2)無機塩やビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。

(3)膵臓は、消化酵素を含む膵液を十二指腸に分泌するとともに、血糖値を調節するホルモンを血液中に分泌する。

(4)ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋白質を分解する。

(5)胆汁はアルカリ性で、蛋白質を分解するトリプシンなどの消化酵素を含んでいる。

正答(5)

【解説】

(1)試験協会が公表した正答では正しい肢とされている。ただし、誤りと解する余地あり。

三大栄養素は糖質(炭水化物)、蛋白質及び脂肪(テキストによっては脂質と記載されている。)である。糖質はブドウ糖(グルコース)などに分解された後、小腸で吸収されて肝臓に運ばれる。肝臓に運ばれたブドウ糖は、血液によって各組識に運ばれてエネルギー源となる。蛋白質はアミノ酸に分解された後、小腸から吸収される。ここまでは正しい。

問題は脂肪である。脂肪は胆汁やリパーゼなどによって分解され、かつては脂肪酸とグリセリンになると考えられていた。しかし、現在ではこれは必ずしも正しくないとされている。脂質は、脂肪酸とモノグリセリドに分解されるのである。なお、モノグリセリドとは、脂肪酸1分子とグリセリン1分子が結合したものである。

しかし、衛生管理者の試験では「脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解される」と覚えておこう。

(2)正しい。無機塩とは無機化合物である塩類のことだが、無機塩やビタミン類が酵素によって分解されることはない。

(3)正しい。膵液とは、膵臓で分泌され、膵管から十二指腸へ送られる消化液である。糖質を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素を含んでいる。一方、膵臓内のランゲルハンス島から分泌されるインスリン、グルカゴンなどのホルモンは、血糖値を調節する役割を果たす。

(4)正しい。ペプシノーゲンは胃の粘膜から分泌され、胃液中の塩酸によって活性ペプシンとなる。この活性ペプシンがタンパク質に作用して、プロテオース、ペプトンまで分解する。

(5)誤り。胆汁がアルカリ性であることは正しい。しかし、胆汁に消化酵素は含まれていない。なお、胆汁には胆汁酸が含まれ、これは脂肪を乳化して細粒化することによって消化吸収を助けている。

2020年08月31日執筆