第2種衛生管理者試験 2017年4月公表 問30

体温調節




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合格

 このページは、試験協会が2017年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年04月公表問題 問30 難易度 体温調節に関する基本的な知識問題である。確実に正答できるようにしておこう。
体温調節

問30 体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)寒冷にさらされ体温が正常以下になると、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、放熱が減少する。

(2)高温にさらされ体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの放熱が促進される。

(3)体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。

(4)計算上、100gの水分が体重70kg の人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温を約1℃下げることができる。

(5)放熱は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量を減らし、血液から熱が逃げる量を減らす。

(2)誤り。暑熱な環境においては、熱の発生量を抑える必要がある。内臓の血流量が低下し体内の代謝活動を抑制することにより、人体からの熱の産生量を抑制する。

(3)正しい。体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを「恒常性(ホメオスタシス)」という。

(4)正しい。汗が蒸発すると、気化熱によって体の熱を奪って体温を下げる。水の気化熱は1gにつき約0.58kcalであるから、100gの汗は約58kcalの熱を奪う。一方、人体の比熱は約0.83であり、体重70kgの人の熱容量は70×0.83=58.1kcalとなる。従って、汗が100g蒸発すると、計算上体温は約1℃下がる。もちろん、これは計算上のことであって、実際には1℃も下がらない。。

(5)正しい。放熱は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われる。蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。

なお、不感蒸泄とは、発汗以外の皮膚および呼気からの水分喪失をいう。文献によっては、皮膚からの蒸散のみを指すとするものもある。不感蒸泄の量は、条件により変動するが、常温安静時には健常成人で1日に約900ml(皮膚から約600ml,呼気による喪失分が約300ml)程度と言われる。

2020年09月09日執筆

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