第2種衛生管理者試験 2017年4月公表 問12

職場環境の温熱条件




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合格

 このページは、試験協会が2017年4月に公表した第2種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年04月公表問題 問12 難易度 職場の温熱条件に関する基本的な知識問題である。基本的な問いであり正答したい。
職場の温熱条件

問12 温熱条件に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)温度感覚を左右する環境要素は、気温、湿度及び気流であり、この三要素によって温熱環境が定まる。

(2)気温、湿度及び気流の総合効果を実験的に求め、温度目盛で表したものが実効温度である。

(3)WBGTは暑熱環境による熱ストレスの評価に用いられる指標で、屋内では自然湿球温度と黒球温度の測定値から算出される。

(4)高温多湿作業場所において労働者を作業に従事させる場合には、計画的に、熱への順化期間を設ける。

(5)相対湿度とは、空気中の水蒸気分圧とその温度における飽和水蒸気圧との比を百分率で示したものである。

正答(1)

【解説】

本問出題当時は、平成21年6月19日基発第0619001号「職場における熱中症の予防について」(以下「旧通達」という。)及び平成17年7月29日付け基安発第0729001号「熱中症の予防対策におけるWBGTの活用について」が有効であった。

しかし、これらの通達は、令和3年4月20日基発0420第3号「職場における熱中症予防基本対策要綱の策定について」(以下、本問の解説において「新通達」と略す。)によって廃止されている。

この解説は、新通達の別紙「職場における熱中症予防基本対策要綱」(以下「要綱」という。)によって解説しているが、必要に応じ旧通達にも触れている。

(1)誤り。「熱中症の予防対策におけるWBGTの活用について」には、「暑熱環境を評価する場合には、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮して総合的に評価する必要があ」るとされていた。

要綱には、このような表現はないが本肢は誤りの内容である。温度感覚を左右する環境要素には、気温、湿度、気流及びふく射(放射)熱の4つがある。

(2)正しい。実効温度とは、米国のヤグローらが提唱した体感温度の指標である。気温、湿度及び風速の様々な組合せについて、それと同じ体感になる湿度100%で無風の温度を、ボランティアによる実験によって定めている。感覚温度又は実感温度ともいう。

ふく射が考慮されていないのは、ヤグローらがふく射の影響のない事務所などを対象に考えていたためであり、ふく射の体感温度への影響を軽視していたわけではない。

(3)正しい。WBGTは、屋内では自然湿球温度(湿度及び間接的に気流を評価する)及び黒球温度(ふく射を評価する)から求められる。暑熱環境による熱ストレスの評価に用いられる。

(4)正しい。要綱の第2の「2 作業管理」の(2)に、「職場における熱中症の予防について」には「高温多湿作業場所において労働者を作業に従事させる場合には、熱への順化(熱に慣れ当該環境に適応すること)の有無が、熱中症の発生リスクに大きく影響することを踏まえて、計画的に、熱への順化期間を設けることが望ましい」とされている。

(5)正しい。これは、物理学の定義である。相対湿度は、空気中の水蒸気量と、その温度における飽和水蒸気量との比を百分率で示したものである。

2020年09月06日執筆 2021年04月24日改訂