第1種衛生管理者試験 2025年10月公表 問19

呼吸用保護具




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年10月公表問題 問19 難易度 呼吸用保護具に関する基本的な知識問題。頻出事項でもあり、正答できなければならない。
呼吸用保護具

問19 呼吸用保護具に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)防毒マスクの吸収缶の色は、アンモニア用は緑色で、有機ガス用は黒色である。

(2)2種類以上の有害ガスが混在している場合には、そのうち最も毒性の強いガス用の防毒マスクを使用する。

(3)型式検定合格標章のある防じんマスクでも、ヒュームのような微細な粒子に対しては効果がない。

(4)防じんマスクは、オイルミストが堆積しても粒子捕集効率は低下しないので、吸気抵抗が上昇しない限り使用することができる。

(5)エアラインマスクは、自給式呼吸器の一種である。

正答(1)

【解説】

呼吸用保護具については当サイトの「化学物質、粉じん等の保護具」を参照して頂きたい。

(1)正しい。防毒マスクの吸収缶の色は、アンモニア用は緑色で、有機ガス用は黒色である。。下記の表は覚えておく必要がある。

対応ガスの種類 吸収缶の色
有機ガス用
ハロゲンガス用 灰色と黒
アンモニア
亜硫酸ガス用 橙色(黄赤)
一酸化炭素用
酸性ガス用 灰色
シアン化水素用
臭化メチル用
硫化水素用

(2)誤り。二種類以上の有毒ガスが混在している場合には、原則として給気式マスクを用いる。最も毒性の強いガス用の防毒マスクを使用したのでは、他のガスを吸引してしまうこととなる。

(3)誤り。型式検定に合格した防じんマスクは、防じん及びヒュームに対しては有効である。ただ、ミストに対しては有効なものと無効なものがあることに留意すること。

(4)誤り。令和5年5月 25 日基発 0525 第3号「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(以下「保護マスク通達」という。)に次のような記述がある。

【防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について】

第3 防毒マスク及び G-PAPR の選択及び使用に当たっての留意事項

1 防毒マスク及び G-PAPR の選択及び使

(6) 有毒ガス等が粉じん等と混在している作業環境中では、粉じん等を捕集する防じん機能を有する防毒マスク又は防じん機能を有するG-PAPRを選択すること。その際、次の事項について留意すること。

ア及びイ (略)

 防じん機能を有する防毒マスク及び防じん機能を有する G-PAPR の吸収缶のろ過材は、一般に粉じん等を捕集するに従って吸気抵抗が高くなるが、防毒マスクの S3、S2 又は S1 のろ過材(G-PAPR の場合は PL3、PL2、PL1 のろ過材)では、オイルミスト等が堆積した場合に吸気抵抗が変化せずに急激に粒子捕集効率が低下するものがあり、また、防毒マスクの L3、L2 又は L1 のろ過材(G-PAPRの場合はPL3、PL2、PL1のろ過材)では、多量のオイルミスト等の堆積により粒子捕集効率が低下するものがあるので、吸気抵抗の上昇のみを使用限度の判断基準にしないこと

(5)誤り。給気式マスクは次のように分類される。エアラインマスクは、自給式ではなく、送気式呼吸器の一種である。

表1:給気式マスクの種類
送気式 ホースマスク 肺力吸引型
手動送風機型
電動送風機型
エアラインマスク プレッシャデマンド型 常に陽圧
デマンド型
一定流量型 常に陽圧
自給式 空気呼吸器 プレッシャデマンド型 常に陽圧
デマンド型
循環式酸素呼吸器
2025年10月04日執筆