問12 金属などによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ベリリウム中毒では、溶血性貧血、尿の赤色化などの症状がみられる。
(2)砒素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害、末梢神経障害などがみられる。
(3)マンガン中毒では、筋のこわばり、震え、歩行困難などのパーキンソン病に似た症状がみられる。
(4)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。
(5)金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害がみられる。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2025年10月公表問題 | 問12 | 難易度 | 金属による健康障の問題は、過去問では頻出事項。内容もほぼ過去問の内容のままである。 |
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金属による健康障害 | 2 |
問12 金属などによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ベリリウム中毒では、溶血性貧血、尿の赤色化などの症状がみられる。
(2)砒素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害、末梢神経障害などがみられる。
(3)マンガン中毒では、筋のこわばり、震え、歩行困難などのパーキンソン病に似た症状がみられる。
(4)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。
(5)金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害がみられる。
正答(1)
【解説】
金属などによる健康障害についての過去問は「化学物質による健康影響(金属)」にまとめてあるので参照されたい。
(1)誤り。ベリリウム中毒で、溶血性貧血、尿の赤色化などの症状がみられるとする報告はない。
なお、ベリリウムは発がん性物質である。また長期のばく露によりベリリウム肺を、短期ばく露により気道の炎症や重度の化学性肺炎を引き起こすこともある。また、ベリリウムは感作性があり、呼吸器に対してアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ、皮膚に対してアレルギー性皮膚反応を引き起こす恐れがある。
(2)正しい。砒素中毒には急性中毒と慢性中毒があるが、慢性中毒では、とくに皮膚に症状が現れ、角化症、黒皮症などの皮膚障害が発症する。また、ボーエン病、皮膚がん、膀胱がん、肺がんの他、鼻中隔穿孔や末梢神経障害などもみられる。
(3)正しい。マンガン中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状の他、筋のこわばり、言語障害、歩行障害、震え(振せん)等の神経障害などのパーキンソン病に似た症状がみられる
(4)正しい。カドミウムはいわゆる「イタイイタイ病」の原因となった物質であり、急性症例の主要症状には、上気道炎、肺炎や肺水腫による呼吸困難がある。また、長期曝露による慢性影響としては、腎臓への影響などが挙げられる。なお、骨軟化がみられることも覚えておく必要がある。
(5)正しい。金属水銀中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、震え(振せん)、歩行障害等の神経障害、焦燥感、記憶減退、不眠等の精神障害、口腔粘膜障害又は腎障害などが現れる。