第1種衛生管理者試験 2025年10月公表 問11

化学物質の常温・常圧における空気中の状態




問題文
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学習する男性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年10月公表問題 問11 難易度 過去問によくあるタイプの問題。過去問の学習のみで正答は可能である。
化学物質の物性

問11 化学物質とその常温・常圧(25 ℃、1気圧)での空気中における状態との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

(1) ホルムアルデヒド ・・・ ガス
(2) 塩化ビニル ・・・ ガス
(3) アクリロニトリル ・・・ ガス
(4) 二硫化炭素 ・・・ 蒸気
(5) アセトン ・・・ 蒸気

正答(3)

【解説】

化学物質の常温・常圧での空気中における状態に関する過去問は「常温・常圧における空気中の状態」に、一覧表の形でまとめてあるので参照されたい。

本問は、但書でガスと蒸気の定義を示している。これは、蒸気とガスについては様ざまな定義があり、定義によってはどちらに該当するかが異なるからであろう。そして、本問では、常温・常圧で液体又は固体の状態にならないものは蒸気ではないと言っている。常温・常圧で気体となっているものは、ガスであって蒸気ではないのである。従って、沸点が常温よりも高いか低いかによって分類すればよいことになろう。

なお、揮発とは物体の状態が液体から気体に変化することで、昇華とは固体から気体に代わることである。日常用語の「蒸発」は液体表面から気化する現象で、蒸気圧が気圧よりも高くなると「沸騰」して液体内部からも気化するようになる。

また、ミストや湯気は液体であり、ヒュームは固体であって蒸気ではないことも覚えておくこと。

(1)正しい。ホルムアルデヒドの沸点は約 -20℃であり、常温ではほぼ無色の刺激臭のあるガスである。

(2)正しい。塩化ビニル(クロロエチレン)の沸点は約 -13.4℃であり、常温では特徴的な臭いのある無色のガスである。

(3)誤り。アクリロニトリルの融点は約-82℃で、沸点は77.3℃であり、常温では液体である。蒸気圧は109mmHgであり、空気中では蒸気として存在し得る。

(4)正しい。二硫化炭素の融点は約 -111℃で、沸点は約 46℃であり、常温では不快臭のある無色揮発性液体(蒸気圧:48kPa(25℃))である。一方、蒸気圧は 48kPa(25℃)と高いため、常温では空気中に蒸気として存在し得る。

(5)正しい。アセトンの沸点は約56℃であり、蒸気圧は239.5hPaである。特有の刺激臭のある無色の蒸気である。

2025年10月04日執筆