第1種衛生管理者試験 2025年10月公表 問08

作業環境測定における測定の対象




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年10月公表問題 問08 難易度 作業環境測定の対象となるものを問う問題は初出。やや難易度は高かったか。
作業環境測定

問8 有害業務を行う作業場とその作業場において定期に測定することが義務付けられている項目の組合せとして、法令上、誤っているものは次のうちどれか。

(1)溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場・・・・・空気中の粉じんの濃度

(2)加硫がまによりゴムを加硫する業務を行う屋内作業場・・・・・気温及び湿度

(3)ドラムバーカーにより、木材を削皮する業務を行う屋内作業場・・・・・等価騒音レベル

(4)エックス線装置を用いて透過写真撮影の業務を行う作業場の管理区域・・・・・線量当量率又は線量当量

(5)廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)を行う作業場・・・・・空気中のダイオキシン類の濃度

正答(1)

【解説】

(1)誤り。溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場は、安衛則の第 587 条(第八号)に定められており、安衛令第 21 条第二号の「暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの」に該当する。

従って、安衛則第 607 条第1項により、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱(ふく射熱については、同条第一号から第八号までの屋内作業場に限る。)を測定しなければならない。

溶融ガラスからガラス製品を成型する業務は、粉じん作業ではなく、空気中の粉じんの濃度を測定する必要はない。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 (略)

 暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

三~九 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第587条 令第21条第二号の厚生労働省令で定める暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場は、次のとおりとする。

一~七 (略)

 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行なう屋内作業場

九~十六 (略)

(気温、湿度等の測定)

第607条 事業者は、第587条に規定する暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱(ふく射熱については、同条第一号から第八号までの屋内作業場に限る。)を測定しなければならない

 (略)

(2)正しい。加硫がまによりゴムを加硫する業務を行う屋内作業場は、安衛則の第 587 条(第九号)に定められており、安衛令第 21 条第二号の「暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの」に該当する。

従って、安衛則第 607 条第1項により、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温及び湿度を測定しなければならない。

なお、ふく射熱については、安衛則第 607 条第1項括弧書きにより除かれている。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 (略)

 暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

三~九 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第587条 令第21条第二号の厚生労働省令で定める暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場は、次のとおりとする。

一~八 (略)

 加硫がまによりゴムを加硫する業務を行なう屋内作業場

十~十六 (略)

(気温、湿度等の測定)

第607条 事業者は、第587条に規定する暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱(ふく射熱については、同条第一号から第八号までの屋内作業場に限る。)を測定しなければならない

 (略)

(3)正しい。ドラムバーカーにより、木材を削皮する業務を行う屋内作業場は、安衛則の第 588 条(第六号)に定められており、安衛令第 21 条第三号の「著しい騒音を発する屋内作業場、厚生労働省令で定めるもの」に該当する。

従って、安衛則第 590 条第1項により、6月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一及び二 (略)

 著しい騒音を発する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

四~九 (略)

【労働安全衛生規則】

第588条 令第21条第三号の厚生労働省令で定める著しい騒音を発する屋内作業場は、次のとおりとする。

一~五 (略)

 ドラムバーカーにより、木材を削皮する業務を行なう屋内作業場

七~九 (略)

(騒音の測定等)

第590条 事業者は、第588条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。

 (略)

(4)正しい。エックス線装置を用いて透過写真撮影の業務は、安衛令別表第二(第一号)の放射線業務に該当する。従って、本肢の作業場は、電離則第 53 条第1項(第一号)に該当し、同条の「作業環境測定を行うべき作業場」となる。

従って、電離則第 54 条第1項により、外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定しなければならない。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一及び五 (略)

 別表第二に掲げる放射線業務を行う作業場で、厚生労働省令で定めるもの

七~九 (略)

別表第二 放射線業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

 エツクス線装置の使用又はエツクス線の発生を伴う当該装置の検査の業務

二~七 (略)

【電離放射線障害防止規則】

(定義等)

第2条 (第1項及び第2項 略)

 この省令で「放射線業務」とは、労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)別表第二に掲げる業務(中略)をいう。

 (略)

(作業環境測定を行うべき作業場)

第53条 令第21条第六号の厚生労働省令で定める作業場は、次のとおりとする。

 放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分

二~三 (略)

(線量当量率等の測定等)

第54条 事業者は、前条第一号の管理区域について、1月以内(放射線装置を固定して使用する場合において使用の方法及び遮へい物の位置が一定しているとき、又は3.7ギガベクレル以下の放射性物質を装備している機器を使用するときは、6月以内)ごとに1回、定期に、外部放射線による線量当量率又は線量当量を放射線測定器を用いて測定し、その都度、次の事項を記録し、これを5年間保存しなければならない。

2~4 (略)

(5)正しい。本肢の廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)は、安衛則第 36 条の第三十四号に該当する。従って、同規則第 592 条の2により、空気中のダイオキシン類の濃度を測定する必要がある(※)

※ 衛生管理者試験では気にする必要はないが、安衛則第 592 条の2第1項の規定の、安衛法上の根拠は第 65 条ではなく第 22 条(及び第 27 条)である。

【労働安全衛生法】

第22条 事業者は、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。

一~三 (略)

 排気、排液又は残さい物による健康障害

第27条 第20条から第25条まで及び第25条の2第1項の規定により事業者が講ずべき措置及び前条の規定により労働者が守らなければならない事項は、厚生労働省令で定める。

 (略)

【労働安全衛生規則】

(特別教育を必要とする業務)

第36条 (柱書略)

一~三十三 (略)

三十四 ダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成11年政令第433号)別表第一第五号に掲げる廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設(第90条第五号の四を除き、以下「廃棄物の焼却施設」という。)においてばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務(第三十六号に掲げる業務を除く。)

三十五~四十一 (略)

(ダイオキシン類の濃度及び含有率の測定)

第592条の2 事業者は、第36条第三十四号及び第三十五号に掲げる業務を行う作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第2条第1項に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)の濃度を測定しなければならない。

 (略)

2025年10月03日執筆