第1種衛生管理者試験 2025年10月公表 問05

労働安全衛生規則の衛生基準




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学習する男性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年10月公表問題 問05 難易度 安衛則の衛生基準は頻出事項。一部に新規の肢もあるが、過去問の学習で正答可能。
衛生基準

問5 労働安全衛生規則の衛生基準について、誤っているものは次のうちどれか。

(1)多量のドライアイスを取り扱う業務を行う屋内作業場については、半月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における気温、湿度及びふく射熱を測定しなければならない。

(2)強烈な騒音を発する屋内作業場においては、その伝ぱを防ぐため、隔壁を設ける等必要な措置を講じなければならない。

(3)屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。

(4)坑内における気温は、原則として、37℃以下にしなければならない。

(5)著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。安衛則第 607 条第1項の規定により、多量の液体空気、ドライアイス等を取り扱う業務を行なう屋内作業場については、半月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における気温及び湿度を測定しなければならない。

しかし、ふく射熱については、同項括弧書きの規定により測定する必要はない。ふく射熱は、高温の物体の場合には、熱中症や熱傷の危険があるので測定する必要がある。低温のものについては問題とならないので測定する必要はないのである。

なお、本問においては、本肢及び(4)のみが 2017 年4月公表問題以降では初出であり、他の肢はすべてそのままの形で出題されたことがある。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 (略)

 暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

三~十 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第587条 令第21条第二号の厚生労働省令で定める暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場は、次のとおりとする。

一~十 (略)

十一 多量の液体空気、ドライアイス等を取り扱う業務を行なう屋内作業場

十二~十六 (略)

(気温、湿度等の測定)

第607条 事業者は、第587条に規定する暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場について、半月以内ごとに1回、定期に、当該屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱(ふく射熱については、同条第一号から第八号までの屋内作業場に限る。)を測定しなければならない。

 (略)

(2)正しい。安衛則第 584 条の規定により、事業者は、強烈な騒音を発する屋内作業場においては、その伝ぱを防ぐため、隔壁を設ける等必要な措置を講じなければならない。

なお、本肢は 2023 年 10 月公表問題問8で出題されたことがある。

【労働安全衛生規則】

(騒音の伝ぱの防止)

第584条 事業者は、強烈な騒音を発する屋内作業場においては、その伝ぱを防ぐため、隔壁を設ける等必要な措置を講じなければならない。

(3)正しい。安衛則第 608 条第1項の規定により、事業者は、屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。

なお、本肢は 2025 年4月公表問題問5で出題されたことがある。

【労働安全衛生規則】

(ふく射熱からの保護)

第608条 事業者は、屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉等があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。

 (略)

(4)正しい。安衛則第 611 条の規定により、事業者は、坑内における気温は、原則として、37 ℃以下にしなければならない。

【労働安全衛生規則】

(坑内の気温)

第611条 事業者は、坑内における気温を37度以下としなければならない。ただし、高温による健康障害を防止するため必要な措置を講じて人命救助又は危害防止に関する作業をさせるときは、この限りでない。

(5)正しい。安衛則第 614 条の規定により、著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。

なお、本肢は 2025 年4月公表問題問5で出題されたことがある。

【労働安全衛生規則】

(有害作業場の休憩設備)

第614条 事業者は、著しく暑熱、寒冷又は多湿の作業場、有害なガス、蒸気又は粉じんを発散する作業場その他有害な作業場においては、作業場外に休憩の設備を設けなければならない。ただし、坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由があるときは、この限りでない。

2025年10月03日執筆