第1種衛生管理者試験 2025年04月公表 問37

呼吸器系(一般)




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年04月公表問題 問37 難易度 呼吸器系に関する問題は、過去問も多く、ほとんどの肢が多少の変更を加えて使いまわされている。
呼吸器系

問37 呼吸に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)呼吸運動は、ろっ間筋、横隔膜などの呼吸筋によって胸郭内容積を周期的に増減し、それに伴って肺を伸縮させることにより行われる。

(2)胸郭内容積が増し、その内圧が低くなるにつれ、鼻くう、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。

(3)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、外呼吸である。

(4)呼吸数は、通常、1分間に 16~20 回で、成人の安静時の1回呼吸量は、約 500mL である。

(5)身体活動時には、血液中の二酸化炭素分圧の上昇などにより間脳の視床下部にある呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。呼吸運動は、呼吸筋が収縮と弛緩をすることによって、胸郭内容積を周期的に増減させて行われる。なお、古典的な考え方においては、呼吸筋は、①横隔膜、②肋間筋及び胸壁の筋、③腹筋、④呼吸補助筋、並びに⑤上気道の筋に分類される。

(2)正しい。胸郭内容積が増し、その内圧が低くなるにつれ、鼻くう、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。

外呼吸と内呼吸のイラスト

©看護roo!

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(3)正しい。肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、肺呼吸又は外呼吸と呼ばれる。

内呼吸とは、細胞や筋肉などの組織で行われるガス交換のことである。なお、浅野(※)によると、内呼吸とは「外呼吸で得られた酸素を細胞に送り、細胞で排出された二酸化炭素を運び出す機能」であるとされる。

※ 浅野浩一郎「呼吸の生理(系統看護学講座 呼吸器)」(第14版 医学書院 2016年)

(4)正しい。呼吸数は、文献によっても異なり、食事、入浴、発熱などによっても増加するが、通常、1分間に12~20回程度が正常値とされている。また、成人の安静時の1回呼吸量は、体重と年齢にもよるが約 400~600mL 程度である。

本肢の「通常、1分間に 16~20 回で、成人の安静時の1回呼吸量は、約 500mL」は正しいと考えてよい。

(5)誤り。呼吸中枢は延髄の網様体にある。本肢のように間脳の視床下部にあるのではない。なお、身体活動時には、血液中の二酸化炭素分圧の上昇などにより呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加することは正しい。

なお、これまでの公表問題においては、この種の肢は「身体活動時には、血液中の窒素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する」として誤り(窒素分圧が誤りで正しくは二酸化炭素分圧)とすることが多かった。

2025年04月11日執筆