問31 脳血管疾患及び虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)脳血管疾患は、出血性病変、虚血性病変などに分類される。
(2)出血性の脳血管疾患は、脳表面のくも膜下腔に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。
(3)虚血性の脳血管疾患である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳塞栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳血栓症に分類される。
(4)虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。
(5)運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用である。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2025年04月公表問題 | 問31 | 難易度 | 医学的な内容ではあるが過去問と全く同じ内容の問題。この種の問題は正答できなければならない。 |
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過重労働対策 | 3 |
問31 脳血管疾患及び虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)脳血管疾患は、出血性病変、虚血性病変などに分類される。
(2)出血性の脳血管疾患は、脳表面のくも膜下腔に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。
(3)虚血性の脳血管疾患である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳塞栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳血栓症に分類される。
(4)虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。
(5)運動負荷心電図検査は、虚血性心疾患の発見に有用である。
正答(3)
【解説】
脳血管疾患及び虚血性心疾患に関する問題は、過去の公表問題にも事例は多い。この問題はすべての肢が過去問のままである。こういった医学的な内容の問題は、試験協会としても新しい問題が作ることが難しいという背景があるのかもしれない。
(1)正しい。脳血管障害は、脳の血管の硬化など、血管病変が原因で引き起こされる脳神経系の障害である。
血管が詰まって(脳梗塞)脳の細胞に栄養素や酸素が届かなくなり細胞が死亡する「虚血性病変」と、頭蓋内部の血管から出血(脳出血)する「出血性病変」などに分類される。一言で言えば、血管が詰まるタイプと破れるタイプに分類できるわけである。
なお、「虚血」とは「血液がない」という意味だと覚えておこう。
(2)正しい。出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。出血が起きる場所で分類している。
(3)誤り。本肢は、2023 年 10 月公表問題の問 32 の(1)までは正しい肢であった脳塞栓症と脳血栓症の説明を、2024 年 10 月公表問題の問 32以降は、逆にして誤った肢にしている。
虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳血栓症と、心臓や動脈壁の血栓などが剥がれて脳血管を閉塞する脳塞栓症に分類される。
簡単に言えば、他の場所(心臓)でできた血栓がはがれて脳内の欠陥が詰まるタイプと、頸の動脈や頭蓋内の比較的大きな動脈が硬化(アテローム硬化)して閉塞するタイプに分かれるのである。
(4)正しい。正しい。虚血性心疾患は、心筋に血液を送る冠動脈が、動脈硬化などで狭くなったり、血管がけいれんを起こしたりして、血液が十分に供給されなくなることにより発症する心筋障害である。
(5)正しい。心筋の異常や不整脈の検査は、安静状態での心電図検査によって行われることが多い。運動負荷心電図検査には、マスター2段試験とトレッドミル試験があり、トレッドミル検査では、安静時では発見できない虚血性心疾患や不整脈の診断などを行う。