第1種衛生管理者試験 2025年04月公表 問25

安衛則上の衛生基準(全般)




問題文
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学習する男性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年04月公表問題 問25 難易度 衛生基準の問題は、過去問の頻出事項である。一部に変更された肢もあるが、過去問の学習で正答は可能。
安衛則の衛生基準

問25 事業場の建築物、施設等に関する措置について、労働安全衛生規則の衛生基準に違反しているものは次のうちどれか。

(1)常時 40 人の労働者を就業させている屋内作業場の気積が、設備の占める容積及び床面から3mを超える高さにある空間を除き 400 mとなっている。

(2)ねずみ、昆虫等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ、昆虫等による被害の状況について、3か月ごとに1回、定期に、統一的に調査を実施し、その調査結果に基づき、必要な措置を講じている。

(3)男性5人を含む常時30人の労働者が就業している事業場で、女性用には床することのできる休養室を設けているが、男性用には、床することのできない休憩設備を利用させている。

(4)事業場に附属する食堂の床面積を、食事の際の1人について、1mを超えるようにしている。

(5)事業場に附属する炊事場の入口には、洗浄剤を含浸させたマットを設置して、土足のままでも立ち入ることができるようにしている。

正答(5)

【解説】

(1)違反していない。安衛則第 600 条によれば、常時 40 人の労働者を就業させている屋内作業場の気積が、設備の占める容積及び床面から4mを超える高さにある空間を除き 400 mとなっていればよい。

本肢の場合、設備の占める容積及び床面から3mを超える高さにある空間を除き 400 mとなっているので、違反とはならない。

【労働安全衛生規則】

(気積)

第600条 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10 立方メートル以上としなければならない。

(2)違反していない。安衛則第 619 条(第二号)の規定により、ねずみ、昆虫等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ、昆虫等による被害の状況について、6か月以内ごとに1回、定期に、統一的に調査を実施し、その調査結果に基づき、必要な措置を講じればよい。本肢の場合、3か月ごとに1回行っているので、違反とはならない。

【労働安全衛生規則】

(清掃等の実施)

第619条 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。

 (略)

 ねずみ、昆虫等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ、昆虫等による被害の状況について、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ、昆虫等の発生を防止するため必要な措置を講ずること。

 (略)

(3)違反していない。安衛則第 618 条で休養室を設けなければならないのは、常時 50 人以上又は常時女性 30 人以上の労働者を使用するときである。本肢の場合、常時 30 人の労働者を使用し、うち女性は 25 人であるから、同条の条件に達していない。

従って、男性用には、床することのできない休憩設備を利用させたとしても違反とはならない。

なお、常時雇用する労働者に男性が1人でもいて、女性が常時30人の場合は、男女ともに床することのできる休養室を設けなければならない。

【労働安全衛生規則】

(休養室等)

第618条 事業者は、常時 50 人以上又は常時女性 30 人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。

(4)違反していない。安衛則第 630 条(第二号)によれば、食堂の床面積は、食事の際の1人について、1m2以上とすればよい。

なお、この1m2には、食堂内の通路部分を含んでいる。法令の文章を覚えるときは、自分の会社に当てはめてイメージし、「この程度はないと狭いな」などと考えて覚えるようにすると忘れにくい。

【労働安全衛生規則】

(食堂及び炊事場)

第630条 事業者は、事業場に附属する食堂又は炊事場については、次に定めるところによらなければならない。

 (略)

 食堂の床面積は、食事の際の1人について、1平方メートル以上とすること。

三から十 (略)

十一 炊事従業員専用の休憩室及び便所を設けること。

十二から十五 (略)

(5)違反となる。安衛則第 630 条(第十五号)の規定により、事業場に附属する炊事場には、土足のまま立ち入らせてはならない。

【労働安全衛生規則】

(食堂及び炊事場)

第630条 事業者は、事業場に附属する食堂又は炊事場については、次に定めるところによらなければならない。

一から十四 (略)

十五 炊事場には、炊事場専用の履物を備え、土足のまま立ち入らせないこと。

2025年04月06日執筆