問19 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)直結式防毒マスクは、隔離式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が高い大気中で使用することができる。
(2)吸気補助具付き防じんマスクは、吸気補助具によって清浄な空気を送る機能がある防じんマスクである。
(3)酸素濃度18%未満の場所で使用できる呼吸用保護具には、送気マスク、空気呼吸器のほか、酸素呼吸器がある。
(4)遮光保護具は、溶接作業における紫外線などによる眼の障害を防ぐために使用する。
(5)保護クリームは、作業中に有害な物質が直接皮膚に付着しないようにする目的で塗布するものである。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2025年04月公表問題 | 問19 | 難易度 | 労働衛生保護具は過去問の頻出事項である。過去問の学習で正答可能な問題である。 |
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労働衛生保護具 | 2 |
問19 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)直結式防毒マスクは、隔離式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が高い大気中で使用することができる。
(2)吸気補助具付き防じんマスクは、吸気補助具によって清浄な空気を送る機能がある防じんマスクである。
(3)酸素濃度 18 %未満の場所で使用できる呼吸用保護具には、送気マスク、空気呼吸器のほか、酸素呼吸器がある。
(4)遮光保護具は、溶接作業における紫外線などによる眼の障害を防ぐために使用する。
(5)保護クリームは、作業中に有害な物質が直接皮膚に付着しないようにする目的で塗布するものである。
正答(1)
【解説】
本問は、(2)については過去問にない新規の問題である。また、(3)は過去問を多少変形しているが、過去問の学習で正答できるものである。その他は、すべて過去の公表問題と同じものである。
(1)誤り。防毒マスクの規格第2条第1項の表によれば、防毒マスクを使用できる上限は次のようになっている。直結式防毒マスクは、隔離式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が低い大気中でしか使用できない。
種類 | ガス濃度 |
---|---|
隔離式 | 2%(アンモニアにあっては3%)以下 |
直結式 | 1%(アンモニアにあっては1.5%)以下 |
直結式小型 | 0.1%以下 |
(2)正しい。吸気補助具付き防じんマスク(型式検定合格標章に「補」のマークがあるもの)は、バッテリーとそれによって駆動するファンを使用して着用者に送風する機能を有している。
なお、吸気補助具付き防じんマスクは、常に陽圧が保たれるものではないことから、電動ファン付き呼吸用保護具(Powered Air Purifying Respirators:PAPR)には含まれない。
(3)正しい。酸素濃度18%未満の場所で使用する呼吸用保護具は、フレッシュなエアが供給できるもの(給気式)でなければならない。その例としては、送気マスク、空気呼吸器のほか、酸素呼吸器がある。
(4)正しい。遮光保護具は、1952年(昭和27年)にJIS B 9902(シャ光保護具)が制定され(※)、その後、JIS適合品が溶接作業や炉前作業などに広く普及し、紫外線による眼への障害の防止に大きな効果を挙げてきた。
※ JIS B 9902は、1970年のJIS改編により、現在ではJIS T 8141:2016(遮光保護具)として制定されている。
なお、眼の保護具としては、遮光保護具(有害光線からの保護)の他に、保護めがね(粉じん、ミスト、飛来物等からの保護)及びレーザー用保護めがね(レーザーからの保護)がある。
保護めがね関連のJISとしては、1971年にはJIS T 8146(強化ガラスレンズ人り保護めがね)、1972年にJIS T 8147(硬質プラスチック入り保護めがね)、1989年にJIS T 8148(産業用ゴーグル形保護めがね)が制定され、この3つのJISは後にJIS T 8147(保護めがね)に統合された。
また、レーザー用保護めがねのJISとしては、1994年にJIS T 8143(レーザ保護フィルタ及びレーザ保護めがね)が制定されている。
(5)正しい。保護クリームの使用目的は、皮膚の露出部に塗布して、作業中に有害な物質が直接皮膚に付着しないようにすることである。
なお、完全なものではないので、皮膚等障害化学物質を直接素手で取り扱うときには、化学防護手袋を使用しなければならない。