第1種衛生管理者試験 2025年04月公表 問18

作業環境測定の実施方法と評価方法




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2025年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2025年04月公表問題 問18 難易度 指定作業場の問題は、2020 年4月公表問題以来。内容も細かいもので正答率は低いかもしれない。
作業環境測定

問18 厚生労働省の「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定及びその結果の評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)作業環境測定を実施する場合の単位作業場所は、労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布の状況などに基づいて設定する。

(2)許容濃度は、有害物質に係る作業環境の状態を、単位作業場所ごとにその作業環境測定結果から評価するための指標として定められている。

(3)A測定は、単位作業場所における有害物質の気中濃度の平均的な分布を知るために行う測定である。

(4)B測定は、単位作業場所中の有害物質の発散源に近接する場所で作業が行われる場合において、空気中の有害物質の最高濃度を知るために行う測定である。

(5)A測定とB測定を併せて行う場合は、A測定の測定値を用いて求めた第一評価値及び第二評価値並びにB測定の測定値に基づき、単位作業場所を第一管理区分から第三管理区分までのいずれかに区分する。

正答(2)

【解説】

厚生労働省の作業環境測定に関する2つの告示「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に関する設問である。

なお、作業環境測定基準等においては、粉じんその他の項目について、それぞれに規定があるので、粉じんの測定を例にとって解説している。

(1)正しい。例えば、作業環境測定基準第2条第1項第一号に、単位作業場所とは「当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域をいう」とされている。

【作業環境測定基準】

(粉じんの濃度等の測定)

第2条 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第21条第一号の屋内作業場における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度の測定は、次に定めるところによらなければならない。

 測定点は、単位作業場所(当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域をいう。以下同じ。)の床面上に6メートル以下の等間隔で引いた縦の線と横の線との交点の床上50センチメートル以上150センチメートル以下の位置(設備等があって測定が著しく困難な位置を除く。)とすること。ただし、単位作業場所における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度がほぼ均一であることが明らかなときは、測定点に係る交点は、当該単位作業場所の床面上に6メートルを超える等間隔で引いた縦の線と横の線との交点とすることができる。

一の二~四 (略)

2~4 (略)

(2)誤り。許容濃度は産業衛生学会が勧告しているもので、「職場におけるこれらの環境要因による労働者の健康障害を予防するための手引きに用いられることを」目的としている。作業環境の状態を評価するための指標は、労働安全衛生法第65条の2第2項に基づいて作業環境評価基準の別表に定められている管理濃度である。

(3)正しい。「平均的な分布」というやや分りにくい日本語が使われているが、A測定とは、単位作業場所の平面において縦横に(原則として)均等な間隔で線を引いた交点において、定常的な作業が行われている状態で、測定を行うものである。

(4)正しい。B測定とは、作業環境評価基準第2条第1項第二号により「作業環境測定基準第2条第1項第二号の二の規定により行う測定」とされている。そして、同号は「当該作業が行われる時間のうち、空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度が最も高くなると思われる時間に、当該作業が行われる位置において測定を行う」とされている。なお、B測定では有害物質の気中濃度が最も高くなると考えられる 15 分間の平均をとることになる。

【作業環境測定基準】

(粉じんの濃度等の測定)

第2条 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第21条第一号の屋内作業場における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度の測定は、次に定めるところによらなければならない。

一~二 (略)

二の二 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの発散源に近接する場所において作業が行われる単位作業場所にあっては、前三号に定める測定のほか、当該作業が行われる時間のうち、空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度が最も高くなると思われる時間に、当該作業が行われる位置において測定を行うこと。

三及び四 (略)

2~4 (略)

【作業環境評価基準】

(測定結果の評価)

第2条 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「令」という。)第21条第一号の屋内作業場における空気中の土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんの濃度の測定は、次に定めるところによらなければならない。

 (略)

 A測定及びB測定(作業環境測定基準第2条第1項第二号の二の規定により行う測定(作業環境測定基準第10条第4項、第10条の2第2項、第11条第2項及び第13条第4項において準用する場合を含む。)をいう。以下同じ。)を行った場合

 (表略)

2~4 (略)

(5)正しい。A測定とB測定を併せて行う場合は、A測定の測定値を用いて求めた第一評価値及び第二評価値並びにB測定の測定値に基づき、以下の表によって、単位作業場所を第一管理区分から第三管理区分までのいずれかに区分する。

【総合判定】

A測定 X<A2 ①第3管理区分 ④第3管理区分 ⑦第3管理区分
A2≦X≦A1 ②第2管理区分 ⑤第2管理区分 ⑧第3管理区分
A1<X ③第1管理区分 ⑥第2管理区分 ⑨第3管理区分
A1:第1評価値、
A2:第2評価値、
B:B測定結果、X:管理濃度
B<X X≦B≦1.5X 1.5X<B
B測定
2025年04月05日執筆