問8 酸素欠乏症等防止規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)第一種酸素欠乏危険作業を行う作業場については、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の硫化水素の濃度を測定しなければならない。
(2)し尿を入れたことのあるポンプを修理する場合で、これを分解する作業に労働者を従事させるときは、指揮者を選任し、作業を指揮させなければならない。
(3)酸素又は硫化水素の濃度が法定の基準を満たすようにするために酸素欠乏危険作業を行う場所を換気するときは、純酸素を使用してはならない。
(4)労働者が酸素欠乏症等にかかったときは、遅滞なく、その旨を当該作業を行う場所を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない。
(5)酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、労働者を当該作業を行う場所に入場させ、及び退場させる時に、人員を点検しなければならない。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2025年04月公表問題 | 問08 | 難易度 | 酸欠則は過去問でも頻出で、今回はごく初歩的な内容。確実に正答できる必要がある。 |
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酸欠則 | 1 |
問8 酸素欠乏症等防止規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)第一種酸素欠乏危険作業を行う作業場については、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の硫化水素の濃度を測定しなければならない。
(2)し尿を入れたことのあるポンプを修理する場合で、これを分解する作業に労働者を従事させるときは、指揮者を選任し、作業を指揮させなければならない。
(3)酸素又は硫化水素の濃度が法定の基準を満たすようにするために酸素欠乏危険作業を行う場所を換気するときは、純酸素を使用してはならない。
(4)労働者が酸素欠乏症等にかかったときは、遅滞なく、その旨を当該作業を行う場所を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない。
(5)酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、労働者を当該作業を行う場所に入場させ、及び退場させる時に、人員を点検しなければならない。
正答(1)
【解説】
(1)誤り。第一種酸素欠乏危険作業を行う作業場については、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素の濃度を測定しなければならない。硫化水素の濃度を測定する必要はない。
第一種酸素欠乏危険作業とは酸素欠乏のおそれがある場所での作業である。酸素欠乏と硫化水素中毒のおそれがある場所での作業は第二種は酸素欠乏危険作業である。
【酸素欠乏症等防止規則】
(作業環境測定等)
第3条 事業者は、令第21条第九号に掲げる作業場について、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素(第二種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあつては、酸素及び硫化水素)の濃度を測定しなければならない。
2 (略)
(2)正しい。酸欠則第25条の2第1項(第二号)の規定により、し尿を入れたことのあるポンプを修理する場合で、これを分解する作業に労働者を従事させるときは、指揮者を選任し、作業を指揮させなければならない。
なお、過去問では「汚水を入れたことのあるポンプを修理する場合」として出題されたことがある。過去問を学習するときは、その答えだけを覚えるのではなく、条文そのものを参照しておく必要がある。
【酸素欠乏症等防止規則】
(設備の改造等の作業)
第25条の2 事業者は、し尿、腐泥、汚水、パルプ液その他腐敗し、若しくは分解しやすい物質を入れてあり、若しくは入れたことのあるポンプ若しくは配管等又はこれらに附属する設備の改造、修理、清掃等を行う場合において、これらの設備を分解する作業に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。
一 (略)
二 硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者のうちから指揮者を選任し、その者に当該作業を指揮させること。
三~五 (略)
2 (略)
(3)正しい。酸欠則第5条第3項の規定により、酸素又は硫化水素の濃度が法定の基準を満たすようにするために酸素欠乏危険作業を行う場所を換気するときは、純酸素を使用してはならない。
酸素には支燃性があり、酸素の濃度が高い場所で火気を用いるときわめて危険なのである。なお、過去問にまったく同じ肢が出題されたことがある。
【酸素欠乏症等防止規則】
(換気)
第5条 事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合は、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上(第二種酸素欠乏危険作業に係る場所にあつては、空気中の酸素の濃度を18パーセント以上、かつ、硫化水素の濃度を百万分の十以下。次項において同じ。)に保つように換気しなければならない。ただし、爆発、酸化等を防止するため換気することができない場合又は作業の性質上換気することが著しく困難な場合は、この限りでない。
2 事業者は、酸素欠乏危険作業の一部を請負人に請け負わせるときは、当該請負人が当該作業に従事する間(労働者が当該作業に従事するときを除く。)、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18パーセント以上に保つように換気すること等について配慮しなければならない。ただし、前項ただし書の場合は、この限りでない。
3 事業者は、前2項の規定により換気が行われるときは、純酸素を使用してはならない。
(4)正しい。酸欠則第 29 条の規定により、労働者が酸素欠乏症等にかかったときは、遅滞なく、その旨を当該作業を行う場所を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない。
なお、本条の安衛法上の根拠条文は、安衛法第 100 条である。
【安全衛生法】
(報告等)
第100条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
2及び3 (略)
【酸素欠乏症等防止規則】
(事故等の報告)
第29条 事業者は、労働者が酸素欠乏症等にかかつたとき、又は第24条第1項の調査の結果酸素欠乏の空気が漏出しているときは、遅滞なく、その旨を当該作業を行う場所を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない。
(5)正しい。酸欠則第8条第1項の規定により、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、労働者を当該作業を行う場所に入場させ、及び退場させる時に、人員を点検しなければならない。
【酸素欠乏症等防止規則】
(人員の点検)
第8条 事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、労働者を当該作業を行う場所に入場させ、及び退場させる時に、人員を点検しなければならない。
2 (略)