問5 労働安全衛生規則の衛生基準について、誤っているものは次のうちどれか。
(1)著しい騒音を発する一定の屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。
(2)硫化水素濃度が5ppmを超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
(3)廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)を行う作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
(4)屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。
(5)著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2025年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2025年04月公表問題 | 問05 | 難易度 | 安衛則の衛生基準は頻出事項。一部に新規の肢もあるが、過去問の学習で正答可能。 |
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安衛則の衛生基準 | 2 |
問5 労働安全衛生規則の衛生基準について、誤っているものは次のうちどれか。
(1)著しい騒音を発する一定の屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。
(2)硫化水素濃度が5ppmを超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
(3)廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)を行う作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
(4)屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。
(5)著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。
正答(2)
【解説】
(1)正しい。安衛則第 590 条の規定により、著しい騒音を発する一定の屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。
なお、本問においては、本肢のみが 2017 年4月公表問題以降では初出であり、他の肢はすべてそのままの形で出題されたことがある。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一及び二 (略)
三 著しい騒音を発する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの
四~十 (略)
【労働安全衛生規則】
(立入禁止等)
第588条 令第21条第三号の厚生労働省令で定める著しい騒音を発する屋内作業場は、次のとおりとする。
一~九 (略)
(騒音の測定等)
第590条 事業者は、第588条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。
2 (略)
(2)誤り。安衛則第 585 条第1項(第四号)は、硫化水素濃度が 100 万分の 10(10ppm) を超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならないとしている。5 ppm ではない。
なお、硫化水素は5 ppm 程度以上の濃度になると不快臭がするが、許容濃度は 10ppm である。法令は、許容濃度より濃度が低い場所に立入禁止を求めるような規定はしない。
【労働安全衛生規則】
(立入禁止等)
第585条 事業者は、次の場所に関係者以外の者が立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止するとともに、表示以外の方法により禁止したときは、当該場所が立入禁止である旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
一~三 (略)
四 炭酸ガス濃度が1.5パーセントを超える場所、酸素濃度が18パーセントに満たない場所又は硫化水素濃度が100万分の10を超える場所
五~七 (略)
2 (略)
(3)正しい。安衛則第 592 条の2により、廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)を行う作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
ここで、設備の解体等に伴うものを除いているのは、作業環境測定は定常的に行われる作業において、その作業環境を改善するために行うものであることから、臨時的な作業を(改善につながらないので)除いているのである。
なお、安衛則第 592 条の2の測定は、安衛法第 65 条に基づく作業環境測定ではない(安衛令第 21 条その他の政令に「燃え殻を取り扱う業務」を作業環境測定の対象と定める規定はない。)。本条の法律上の根拠は安衛法第 22 条である。
【労働安全衛生規則】
(特別教育を必要とする業務)
第36条 (柱書 略)
一~三十三 (略)
三十四 ダイオキシン類対策特別措置法施行令(平成11年政令第433号)別表第一第五号に掲げる廃棄物焼却炉を有する廃棄物の焼却施設(第90条第五号の三を除き、以下「廃棄物の焼却施設」という。)においてばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務(第三十六号に掲げる業務を除く。)
三十五 (略)
三十六 廃棄物の焼却施設に設置された廃棄物焼却炉、集じん機等の設備の解体等の業務及びこれに伴うばいじん及び焼却灰その他の燃え殻を取り扱う業務
三十七~四十一 (略)
(ダイオキシン類の濃度及び含有率の測定)
第592条の2 事業者は、第36条第三十四号及び第三十五号に掲げる業務を行う作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類(ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)第2条第1項に規定するダイオキシン類をいう。以下同じ。)の濃度を測定しなければならない。
2 (略)
(4)正しい。安衛則第 608 条第1項の規定により、事業者は、屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。
【労働安全衛生規則】
(ふく射熱からの保護)
第608条 事業者は、屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉等があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。
2 (略)
(5)正しい。安衛則第 614 条の規定により、著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。
【労働安全衛生規則】
(有害作業場の休憩設備)
第614条 事業者は、著しく暑熱、寒冷又は多湿の作業場、有害なガス、蒸気又は粉じんを発散する作業場その他有害な作業場においては、作業場外に休憩の設備を設けなければならない。ただし、坑内等特殊な作業場でこれによることができないやむを得ない事由があるときは、この限りでない。