第1種衛生管理者試験 2024年10月公表 問42

代謝(一般)




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2024年10月公表問題 問42 難易度 やや高度な内容であるが過去問とほぼ同じ内容。正答できなければならない。
代謝

問42 代謝に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)代謝において、細胞に取り入れられた体脂肪、グリコーゲンなどが分解されてエネルギーを発生し、ATP が合成されることを同化という。

(2)代謝において、体内に摂取された栄養素が、種々の化学反応によって、細胞を構成するたん白質などの生体に必要な物質に合成されることを異化という。

(3)エネルギー代謝率は、一定時間中に体内で消費された酸素と排出された二化炭素の容積比である。

(4)基礎代謝量は、安静時における心臓の拍動、呼吸、体温保持などに必要な代謝量で、睡眠中の測定値で表される。

(5)メッツ(METs)は、身体活動の強度を示す指標で、座位安静時の酸素消費量に対する運動時の酸素消費量で表される。

正答(5)

【解説】

近年の衛生管理者試験の公表問題では、過去問にいくつかの新しい肢を挿入することで問題を作り替えることがある。本問では(5)がその例である。おそらく、試験協会の問題作成者の考えにもよるのだろうが、正答となる肢が新しい肢というケースが多いようである。

(1)誤り。生物が外部から取り入れた物質を変化させることを「代謝」というが、これは「異化」と「同化」の2つがある。「異化」とは複雑な物質を単純な物質に分解すること(エネルギが発生する)ことであり、「同化」とは単純な物質を複雑な物質に結合する(エネルギを用いて、我々の身体を構成する物質を造る)ことである。それさえ知っていれば本肢は誤りと分かる。

(2)誤り。(1)で説明したように、代謝において、体内に摂取された栄養素が、種々の化学反応によって、細胞を構成する蛋白質などの生体に必要な物質に合成されることを同化という。

(3)誤り。エネルギー代謝率は、さまざまな作業や運動などの身体活動強度を示す指標である。具体的には、身体活動に必要としたエネルギー量が基礎代謝量の何倍にあたるかによって表される。本肢の「一定時間中に体内で消費された酸素と排出された二酸化炭素の容積比」は、「呼吸比(呼吸商)」である。

(3)誤り。基礎代謝量とは、「人が生きていく上で必要な最小限のエネルギ」のことであり、「心臓の拍動、呼吸運動、体温保持などに必要な代謝」であるとしていることは正しい。

しかし、測定は、約 12 時間以上の絶食、安静仰臥位で筋の緊張を最小限にした状態、快適な室温で心身ともにストレスの少ない覚醒状態で測定される。実際には、当日の朝、測定実施場所に移動し、十分な安静(30 分以上)を保った後測定される。睡眠中の測定値で表されるのではない。

(5)正しい。メッツ(METs)は、身体活動の強度を示す指標で、厚生労働省の「身体活動・運動の単位」に詳細な説明がある。基本的な考え方は、座位安静時の酸素消費量に対する運動時の酸素消費量で表される。

2024年10月16日執筆