第1種衛生管理者試験 2024年10月公表 問39

体温調節の仕組み




問題文
トップ
学習する女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、下表の左欄、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2024年10月公表問題 問39 難易度 体温調節は前回に引き続いての出題。内容は基本的なレベルであり、確実に正答できるようにしておこう。
体温調節の仕組み

問39 体温調節に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。

(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動がこう進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

(3)体温調節のように、外部環境が変化しでも身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。

(4)体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散のバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。

(5)甲状腺ホルモンの分泌により、代謝がこう進し、体温は上昇する。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量を減らし、血液から熱が逃げる量を減らす。

(2)誤り。暑熱な環境においては、熱の発生量を抑える必要がある。内臓の血流量が低下し体内の代謝活動を抑制することにより、人体からの熱の産生量を抑制する。本肢は寒冷な環境における状態である。

(3)誤り。体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを「恒常性」という。

(4)誤り。体温調節中枢の元となる自律神経系の中枢は、小脳ではなく視床下部にある(体温調節機能は視床下部最吻側に位置する視索前野にある)。

なお、体温調節に関わる皮膚血管運動を支配する血管運動中枢は、延髄循環中枢にある。

ここで、脳幹について簡単に説明しておこう。まず、脳幹は、間脳、中脳、橋及び延髄に区分される。

間脳は視床と視床下部からなる。視床下部は、自律神経系の高位中枢である。一方、視床は、視覚、聴覚などの情報を大脳皮質に伝えるための中継の役割を有する。

延髄には、心臓中枢、血管運動中枢、呼吸中枢、嚥下中枢などがある。

小脳は、平衡機能、姿勢機能、随意運動などの調節をする。

(5)正しい。甲状腺機能がこう進すると物質代謝や基礎代謝量が増大し、心拍数の増加、体温の上昇、発汗の増加などがみられる。

2024年10月16日執筆