問26 労働基準法に定める育児時間に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)生後満1年に達しない生児を育てる労働者は、男性、女性共に育児時間を請求することができる。
(2)育児時間は、1日2回、1回当たり少なくとも 30 分の時間を請求することができる。
(3)育児時間中は、育児時間を請求した労働者を使用してはならない。
(4)育児時間を請求しない労働者に対しては、育児時間を与えなくてもよい。
(5)育児時聞は、必ずしも有給としなくてもよい。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2024年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2024年10月公表問題 | 問26 | 難易度 | 労基法の育児時間は 2021 年4月公表問題以来だが基本的な知識問題。確実に正答できなければならない。 |
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労働基準法の育児時間 | 4 |
問26 労働基準法に定める育児時間に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)生後満1年に達しない生児を育てる労働者は、男性、女性共に育児時間を請求することができる。
(2)育児時間は、1日2回、1回当たり少なくとも 30 分の時間を請求することができる。
(3)育児時間中は、育児時間を請求した労働者を使用してはならない。
(4)育児時間を請求しない労働者に対しては、育児時間を与えなくてもよい。
(5)育児時聞は、必ずしも有給としなくてもよい。
正答(1)
【解説】
労基法の育児時間に関する規定は第67条のみである。条文問題ではあるが、過去問の学習から正答可能な問題である。
【労働基準法】
(育児時間)
第67条 生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
2 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。
(1)誤り。育児時間を請求できるのは、同条により「生後満1年に達しない生児を育てる女性」であるから本肢は誤りである。
いささか常識に外れる条文であるが、本条ができた当時の男女の役割に関する固定概念を反映させているものであろう。当時の本条の趣旨は「授乳の機会確保や母体保護」で、当時は男性には必要がないと思われていたのである。
(2)正しい。労基法第 67 条第1項のままである。
(3)正しい。労基法第 67 条第2項のままである。育児時間中に、育児時間を請求した労働者を使用してよいのなら、なんのための育児時間制度であろうか。
(4)正しい。労基法第 67 条は、育児時間を「請求することができる」としている。育児時間を与えなければならないのは、請求があった場合である。女性の側にとっても、必要もないのに育児時間を強制されたら、かえって迷惑であろう。
(2)正しい。雇用契約の原則は労働に対して賃金を支払うものであるから、法令等に規定がない限り、働いていない時間に賃金を支払わないことは違法ではない。
もちろん、就業規則や個別契約、労使慣行などで、賃金を支払うこととされていれば、支払わなければならないことは当然であるが、それは本肢とは別な話である。