問25 事業場の建築物、施設等に関する措置について、労働安全衛生規則の衛生基準に違反していないものは次のうちどれか。
(1)日常行う清掃のほか、大掃除を、1年に1回、定期に、統一的に行っている。
(2)男性25人、女性25人の労働者を常時使用している事業場で、労働者が臥床することのできる休養室又は休養所を男性用と女性用に区別して設けていない。
(3)60 人の労働者を常時就業させている屋内作業場の気積が、設備の占める容積及び床面から4mを超える高さにある空間を除き、500 m3となっている。
(4)事業場に附属する食堂の床面積を、食事の際の1人について、0.8 m2としている。
(5)労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、精密な作業については 500 ルクス、粗な作業については 100 ルクスとしている。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2024年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2024年10月公表問題 | 問25 | 難易度 | 安衛則の衛生基準に関する知識問題。過去問の数字だけを修正している。正答できなければならない。 |
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安衛則の衛生基準 | 2 |
問25 事業場の建築物、施設等に関する措置について、労働安全衛生規則の衛生基準に違反していないものは次のうちどれか。
(1)日常行う清掃のほか、大掃除を、1年に1回、定期に、統一的に行っている。
(2)男性25人、女性25人の労働者を常時使用している事業場で、労働者が臥床することのできる休養室又は休養所を男性用と女性用に区別して設けていない。
(3)60 人の労働者を常時就業させている屋内作業場の気積が、設備の占める容積及び床面から4mを超える高さにある空間を除き、500 m3となっている。
(4)事業場に附属する食堂の床面積を、食事の際の1人について、0.8 m2としている。
(5)労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、精密な作業については 500 ルクス、粗な作業については 100 ルクスとしている。
正答(5)
【解説】
(1)安衛則第 619 条に違反している。大掃除は6月以内ごとに1回行わなければならない。あなたの事業場では、半年に一回、大掃除を行っていますか? やっていないと違反になる。自分の事業場の状況と照らし合わせると覚えやすい。試験までに覚えておこう。
【労働安全衛生規則】
(清掃等の実施)
第619条 事業者は、次の各号に掲げる措置を講じなければならない。
一 日常行う清掃のほか、大掃除を、6月以内ごとに1回、定期に、統一的に行うこと。
二及び三 (略)
(2)安衛則第 618 条に違反している。男女合わせて 50 人なので、女性 25 人でも安衛則第 618 条に違反する。この条文で覚えておくのは、「常時 50 人以上又は常時女性 30 人以上」「労働者がが床することのできる」「男性用と女性用に区別して」の3箇所。なお、「が床(臥床)」とは横になれるということ。会社ができた当初は守られていても、誰も条文を覚えていないと、物置に改造されて違反状態になっていることがよくある。
衛生管理者試験を受けようとする方の多くは、常時 50 人以上の労働者を雇用する事業場で働いていることが多いと思う。自社に「労働者が臥床することのできる」休養室又は休養所が「男性用と女性用に区別して」あったかなと考えてみると覚えやすい。
なお、試験本番で、「男性の人数が少なければ、男性は臥床ができなくてもよいのではないか」という疑問が湧くことがあるので、ここはきちんと押さえておくこと。男性20人で女性が29人なら男女とも臥床ができなくてもよいが、男性1人で女性が30人だと、男女ともに臥床床できる必要があるのだ。
このようにしたのは、女性だけ臥床できるようにすると、男性が女性の休養室に入って横になろうとするのではないかという不安があったためである。今では信じられないようなことだが、この規定ができた当時は、男尊女卑の風潮があり、また中高齢の女性の羞恥心など気にする必要はないという時代だったのだ。
【労働安全衛生規則】
(休養室等)
第618条 事業者は、常時50人以上又は常時女性30人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。
(3)安衛則第600条に違反している。60人の労働者を常時就業させている屋内作業場の気積については、設備の占める容積及び床面から4mを超える高さにある空間を除き、600m3以上としなければならない。
【労働安全衛生規則】
(気積)
第600条 事業者は、労働者を常時就業させる屋内作業場の気積を、設備の占める容積及び床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、10 立方メートル以上としなければならない。
(4)安衛則第 630 条(第二号)に違反している。安衛則第 630 条(第二号)によれば、食堂の床面積は、食事の際の1人について、1m2以上としなければならない。0.8m2では違反となる。
なお、この1m2には、食堂内の通路部分を含んでいる。法令の文章を覚えるときは、自分の会社に当てはめてイメージし、「この程度はないと狭いな」などと考えて覚えるようにすると忘れにくい。
【労働安全衛生規則】
(食堂及び炊事場)
第630条 事業者は、事業場に附属する食堂又は炊事場については、次に定めるところによらなければならない。
一 (略)
二 食堂の床面積は、食事の際の1人について、1平方メートル以上とすること。
三から十 (略)
十一 炊事従業員専用の休憩室及び便所を設けること。
十二から十五 (略)
(5)違反とはならない。精密な作業については500ルクス、粗な作業については100ルクスとしていれば、安衛則第604条の規定を満足するので違反とはならない。
ただし、実際の作業場において安衛則第604条の規定はやや暗すぎるので、もっと明るくするべきである。
【労働安全衛生規則】
(照度)
第604条 事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料を取り扱う作業場、坑内の作業場その他特殊な作業を行なう作業場については、この限りでない。
作業の区分 | 基準(メートル/秒) |
---|---|
精密な作業 | 300ルクス以上 |
普通の作業 | 150ルクス以上 |
粗な作業 | 70ルクス以上 |