第1種衛生管理者試験 2024年10月公表 問21

衛生委員会について(全般)




問題文
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学習する女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2024年10月公表問題 問21 難易度 衛生委員会に関する基本的な知識問題である。ほぼ過去問の学習で正答可能な問題である。
衛生委員会

問21 衛生委員会に関する次の記述のうち、法令上、正しいものはどれか。

(1)衛生委員会の議長は、衛生管理者である委員のうちから、事業者が指名しなければならない。

(2)衛生委員会の議長を除く全委員については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。

(3)衛生管理者として選任しているが事業場に専属でない労働衛生コンサルタントを、衛生委員会の委員として指名することはできない。

(4)当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士を衛生委員会の委員として指名することができる。

(5)衛生委員会は、毎月1回以上開催するようにし、議事で重要なものに係る記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。

正答(4)

【解説】

【労働安全衛生法】

(安全委員会)

第17条 (第1項及び第2項 略)

 安全委員会の議長は、第一号の委員がなるものとする。

 事業者は、第一号の委員以外の委員の半数については、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。

 (略)

(衛生委員会)

第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

一~四 (略)

 衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。

 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者

 衛生管理者のうちから事業者が指名した者

三及び四 (略)

 事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士であるものを衛生委員会の委員として指名することができる。

 前条第三項から第五項までの規定は、衛生委員会について準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「第一号の委員」とあるのは、「第十八条第二項第一号の者である委員」と読み替えるものとする。

【労働安全衛生規則】

(衛生管理者の選任)

第7条 法第12条第1項の規定による衛生管理者の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。

 (略)

 その事業場に専属の者を選任すること。ただし、二人以上の衛生管理者を選任する場合において、当該衛生管理者の中に第十条第三号に掲げる者がいるときは、当該者のうち一人については、この限りでない。

三~六 (略)

 (略)

(衛生管理者の資格)

第10条 法第12条第1項の厚生労働省令で定める資格を有する者は、次のとおりとする。

一及び二 (略)

 労働衛生コンサルタント

 (略)

(委員会の会議)

第23条 事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月一回以上開催するようにしなければならない。

2及び3 (略)

 事業者は、委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。

 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容

 前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なもの

 (略)

(1)誤り。安衛法第 18 条第4項が準用する同第 17 条第3項により、衛生委員会の議長は、原則として、総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した委員がなるものとするとされている。

やや分かりにくい文章だが、要するに議長には事業場のトップ又はそれに準じる者が就任するということである。事業場の衛生管理に最終的な責任を持つべきは、その事業場のトップであるべきなので、議長には事業場のトップまたはそれに準じる者が就任するのである。

(2)誤り。安衛法第 18 条第4項が準用する同第 17 条第4項により、衛生委員会の議長を除く委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。

安衛法の思想では、労働衛生を目的とした衛生委員会は労使自治の場なのである。そのために、議長以外の労使の数を同数とするのである。

(3)誤り。事業場に専属ではない労働衛生コンサルタントであっても、衛生管理者に選任していれば、安衛法第 18 条第2項(第二号)により、衛生管理者として衛生委員会の委員に指名することができる。

安衛法とその関係法令には、事業場に専属でない衛生管理者を衛生委員会等の委員に就任させてはならないという規定はない。また、安衛則第7条第1項(第二号但書)の規定により、複数の衛生管理者を選任する事業者にあっては、そのうちの一人を事業に専属でない衛生コンサルタントから選任することができることは覚えておかなければならない。

(4)正しい。安衛法第 18 条第3項により、その事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士である者を衛生委員会の委員として選任できる。なお、作業環境測定を外部の作業環境測定機関に委託して実施している場合、当該作業環境測定を実施している作業環境測定士を、衛生委員会の委員として指名することはできない。

(5)誤り。安衛則第 23 条第4項(第二号)の規定により衛生委員会の議事で重要なものに係る記録を作成しなければならないが、保存しなければならないのは3年間である。5年間ではない。なお、衛生委員会を毎月1回以上開催するようにしなければならないことは、安衛則第 23 条第1項の規定により正しい。

2024年10月12日執筆