第1種衛生管理者試験 2024年10月公表 問18

粉じんによる健康障害




問題文
トップ
学習する女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、下表の左欄、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2024年10月公表問題 問18 難易度 やや高度な選択肢もあるが、じん肺の基本を押さえておけば正答できる問題である。
じん肺と合併症

問18 粉じんによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)じん肺は、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病で、けい肺、石綿肺などがある。

(2)じん肺がある程度進行すると、粉じんへのぼく露を中止しでも肺の線維化が進行する。

(3)けい肺は、鉄、アルミニウムなどの金属粉じんを吸入することによって発症するじん肺である。

(4)石綿肺では、胸膜の肥厚(プラーク)、胸膜の石灰化などがみられる。

(5)木材の粉じんを吸入することによって、ぜんそくを起こすことがある。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。じん肺の定義はじん肺法第2条に規定されており、「粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」である。

そして、けい肺は遊離けい酸の粉じんの吸入を原因とし、石綿肺は石綿の吸入を原因とするじん肺である

(2)正しい。じん肺がある程度進行していると、粉じんへのばく露を中止しても症状が更に進行することがある。なお、粉じんへのばく露期間が長いと、ばく露を中止した後で発症することもまれではない。

(3)誤り。(1)の解説に示したように、けい肺は、遊離けい酸の粉じんを吸入することにより起こるじん肺である。

(4)正しい。石綿肺では、胸膜の肥厚(プラーク)、胸膜の石灰化などがみられる。胸膜プラークは、石綿小体とともに、石綿ばく露の指標となる医学的な所見である。

肺の石灰化は、日本では石綿ばく露以外には発症しないとされている。石綿ばく露から 20 年以降に肺の一部が石灰化することがある。40 年後には約3分の1以上で石灰化が認められる。

(5)正しい。昭和45年1月7日基発第2号「米杉等による気管支ぜん息等の予防について」の記のⅠの「1」には「米杉、ネズコ等の木材には特異な成分(例えば、nezukone)が含まれており、これらの吸入をくりかえすと、気管支炎のみにとどまらず、気管支ぜん息を発生する」とされ、「2 気管支ぜん息等を発生させるおそれのある木材の種類」には「米杉、ネズコ、リョウブ、ラワン」が挙げられている。

2024年10月11日執筆