問15 金属などによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害、手指の震えなどの症状がみられる。
(2)鉛中毒では、貧血、末梢神経障害、腹部の疝痛などの症状がみられる。
(3)クロム中毒では、指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫などがみられる。
(4)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。
(5)砒素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害、鼻中隔穿孔などの症状がみられる。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2024年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2024年10月公表問題 | 問15 | 難易度 | 金属による中毒に関する基本的な知識問題。頻出事項でもあり、正答できなければならない。 |
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金属などによる健康障害 | 4 |
問15 金属などによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害、手指の震えなどの症状がみられる。
(2)鉛中毒では、貧血、末梢神経障害、腹部の疝痛などの症状がみられる。
(3)クロム中毒では、指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫などがみられる。
(4)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。
(5)砒素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害、鼻中隔穿孔などの症状がみられる。
正答(3)
【解説】
金属などによる健康障害についての過去問は「化学物質による健康影響(金属)」にまとめてあるので参照されたい。
(1)正しい。金属水銀中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、震え(振せん)、歩行障害等の神経障害、焦燥感、記憶減退、不眠等の精神障害、口腔粘膜障害又は腎障害などが現れる。
(2)正しい。鉛中毒では、血液障害(血色素の合成過程を鉛が阻害するために貧血がおこる)、神経障害(初期には筋肉痛、関節痛、筋力低下が発生する。症状が進むと、いわ ゆる垂れ手と呼ばれる症状が現れる。)、消化器の障害(初期には、食欲減退、嘔吐、下痢・便秘などが起きる。また、腹部に疝痛が起きることがある)などの症状を伴う。
(3)誤り。クロム中毒では、精神・神経症状(初期には神経衰弱様の症状などが現われ、その後錐体外路症候(パーキンソン症候群様症状)を中核とした多彩な精神症状が、進行性に出現してくる。)、肺炎などが挙げられる。指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫などの症状がみられるという報告はない。
(4)正しい。カドミウムはいわゆる「イタイイタイ病」の原因となった物質であり、急性症例の主要症状には、上気道炎、肺炎や肺水腫による呼吸困難がある。また、長期曝露による慢性影響としては、腎臓への影響などが挙げられる。なお、骨軟化がみられることも覚えておく必要がある。
(5)正しい。砒素中毒には急性中毒と慢性中毒があるが、慢性中毒では、とくに皮膚に症状が現れ、角化症、黒皮症などの皮膚障害が発症する。また、ボーエン病、皮膚がん、膀胱がん、肺がんの他、鼻中隔穿孔や末梢神経障害などもみられる。