第1種衛生管理者試験 2024年10月公表 問06

労働安全衛生法令に定められている免許




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2024年10月公表問題 問06 難易度 免許の対象業務は 2024 年 10 月公表に引き続き2度目。やや難易度は高かったか。
安衛法の免許の対象

問6 次の免許のうち、労働安全衛生法令に定められていないものはどれか。

(1)エックス線作業主任者免許

(2)ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許

(3)高圧室内作業主任者免許

(4)特定化学物質作業主任者免許

(5)潜水士免許

正答(4)

【解説】

免許制度については安衛法第 72 条以下に定められており、免許試験の区分は安衛則第69条に定められている。従って、本問は安衛則第 69 条に関する問題であり、同条を調べれば分かる。

なお、免許と技能講習では、免許の方が上位の資格となる。免許と技能講習の区別は、作業主任者については安衛則別表第一、就業制限については別表第三(衛生関係で関係があるのは潜水士免許のみ)を参照すること。

また、安衛法第 14 条は作業主任者について、また同法第61条は一定の危険有害な業務(就業制限業務)に従事する場合について、それぞれ免許又は技能講習の修了が必要であると規定している。

そして、作業主任者の対象となる業務は安衛令第6条に、就業制限の対象は安衛令第 20 条に定められている。そして、作業主任者の資格は安衛則第 16 条(別表第一)に、就業制限業務に従事する資格は同規則第 41 条(別表第三)に定められている。

そして、安衛則別表第一によれば、特定化学物質作業主任者の要件は、技能講習修了と定められている。免許ではない。

【労働安全衛生法】

(作業主任者)

第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。

(就業制限)

第61条 事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。

2~4 (略)

(免許試験)

第75条 免許試験は、厚生労働省令で定める区分ごとに、都道府県労働局長が行う。

2~4 (略)

 免許試験の受験資格、試験科目及び受験手続並びに教習の受講手続その他免許試験の実施について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

 高圧室内作業(潜かん工法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室又はシヤフトの内部において行う作業に限る。)

二~四 (略)

 別表第二第一号又は第三号に掲げる放射線業務に係る作業(医療用又は波高値による定格管電圧が千キロボルト以上のエツクス線を発生させる装置(同表第二号の装置を除く。以下「エツクス線装置」という。)を使用するものを除く。)

五の二 ガンマ線照射装置を用いて行う透過写真の撮影の作業

六~十七 (略)

十八 別表第三に掲げる特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業及び同表第二号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを除く。)

十九~二十三 (略)

(就業制限に係る業務)

第20条 法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

一~八 (略)

 潜水器を用い、かつ、空気圧縮機若しくは手押しポンプによる送気又はボンベからの給気を受けて、水中において行う業務

十~十六 (略)

【労働安全衛生規則】

(作業主任者の選任)

第16条 法第14条の規定による作業主任者の選任は、別表第一の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の中欄に掲げる資格を有する者のうちから行なうものとし、その作業主任者の名称は、同表の下欄に掲げるとおりとする。

 (略)

(就業制限についての資格)

第41条 法第61条第1項に規定する業務につくことができる者は、別表第三の上欄に掲げる業務の区分に応じて、それぞれ、同表の下欄に掲げる者とする。

 (略)

(免許試験)

第69条 法第75条第1項の厚生労働省令で定める免許試験の区分は、次のとおりとする

一及び一の二 (略)

 高圧室内作業主任者免許試験

三~七 (略)

 エツクス線作業主任者免許試験

八の二 ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許試験

九~十五 (略)

十六 潜水士免許試験

別表第一 (第十六条、第十七条関係)

作業の区分 資格を有する者 名称
令第六条第一号の作業 高圧室内作業主任者免許を受けた者 高圧室内作業主任者
(略) (略) (略)
令第六条第五号の作業 エツクス線作業主任者免許を受けた者 エツクス線作業主任者
令第六条第五号の二の作業 ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許を受けた者 ガンマ線透過写真撮影作業主任者
(略) (略) (略)
令第六条第十八号の作業のうち、次の二項に掲げる作業以外の作業 特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習(講習科目を次項の金属アーク溶接等作業に係るものに限定したもの(以下「金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習」という。)を除く。令第六条第二十号の作業の項において同じ。)を修了した者 特定化学物質作業主任者
(略) (略) (略)

別表第三 (第四十一条関係)

作業の区分 資格を有する者
(略) (略)
令第二十条第九号の業務 潜水士免許を受けた者
(略) (略)

(1)定められている。安衛則第 69 条第八号にエックス線作業主任者免許が定められている。

(2)定められている。安衛則第 69 条第八号の二にガンマ線透過写真撮影作業主任者免許が定められている。

(3)定められている。安衛則第 69 条第二号に高圧室内作業主任者免許が定められている。

(4)定められていない。特定化学物質作業主任者免許は安衛法令に定められていない。特定化学物質作業主任者は技能講習修了者を就けることになる。

(5)定められている。安衛則第 69 条第十六号に潜水士免許試験が定められている。

2024年10月11日執筆