第1種衛生管理者試験 2024年04月公表 問38

脂肪の分解・吸収及び脂質の代謝




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2024年04月公表問題 問38 難易度 脂肪の消化は過去の公表問題では少ないが、基本的な内容であり正答できなければならない。
消化器

問38 脂肪の分解・吸収及び脂質の代謝に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)脂肪は、すい臓から分泌される消化酵素であるすいアミラーゼにより脂肪酸とグリセリンに分解される。

(2)胆汁は、アルカリ性で、消化酵素は含まないが、食物中の脂肪を乳化させ、脂肪分解の働きを助ける。

(3)肝臓は、過剰なたん白質及び糖質を中性脂肪に変換する。

(4)コレステロールやリン脂質は、神経組織の構成成分となる。

(5)脂質は、糖質やたん白質に比べて多くのATPを産生するエネルギー源となるが、摂取量が多すぎると肥満の原因となる。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。脂肪は、すい臓から分泌される消化酵素であるリパーゼにより脂肪酸とグリセリンに分解され、小腸のじゅう毛から吸収される。すいアミラーゼによって分解されるのではない。

なお、アミラーゼは、でんぷん(糖質)を糖に分解する消化酵素である。膵臓、睡液腺、耳下腺などから分泌される。

(2)正しい。健康なヒトの胆汁は、弱アルカリ性である。また、胆汁それ自体は消化酵素は含まないが、脂肪の消化・吸収を促進する働きがある。具体的には、小腸内の脂肪滴を乳化することで、膵液中のリパーゼが脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解することを助けるのである。

(3)正しい。中性脂肪はエネルギーを貯蔵する役割を持つ。脂質、糖質(炭水化物)、蛋白質を余剰に摂取すると、エネルギーを貯蔵するために中性脂肪に変えられ、これが肥満や様々な生活習慣病の原因となる。

(4)正しい。コレステロールとリン脂質は蛋白質とともにすべての細胞膜に含まれていて、膜の流動性を調節している。神経細胞は、細胞膜成分の割合が大きいため、コレステロールやリン脂質の割合が多くなる。このため、成人の体内コレステロール量の約1/4が脳に、1/3強が神経系全体に含まれている。

(5)正しい。脂質のエネルギー密度は約9 kcal/g で、糖質及び蛋白質が、ともに約4 kcal/g であるのに対し、エネルギー補給源及び貯蔵体として効率が良い。エネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)は、脂質、糖質、蛋白質などを分解して産生される。脂質は最も多くのエネルギーを生成することができるので、エネルギー源として優れている。

2024年04月10日執筆