第1種衛生管理者試験 2024年04月公表 問15

有機溶剤による健康影響等




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学習する女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2024年04月公表問題 問15 難易度 有機溶剤に関する基本的な知識問題。すべての肢が過去の公表問題と同じ。過去問の学習のみで正答できる。
有機溶剤による健康影響

問15 有機溶剤に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)有機溶剤の多くは、揮発性が高く、その蒸気は空気より軽い。

(2)有機溶剤は、脂溶性が低いため、脂肪の多い脳などには入りにくい。

(3)メタノールによる障害として顕著なものには、網膜の微細動脈りゅうを伴う脳血管障害がある。

(4)二硫化炭素は、動脈硬化を進行させたり、精神障害を生じさせることがある。

(5)N,N-ジメチルホルムアミドによる障害として顕著なものには、視力低下を伴う視神経障害がある。

正答(4)

【解説】

(1)誤り。有機溶剤の多くは、揮発性が高いことは正しい。しかし、その蒸気は空気より重い。そのため、有機溶剤のセンサは天井よりも床につける方がよく、局所排気装置は上方吸引より下方吸引の方が効率的である。

(2)誤り。有機溶剤の特徴の一つは、脂溶性が高いことである。そのため、脂肪の多い脳などに蓄積されやすい。

(3)誤り。メタノールによる健康障害として顕著なものは、眼に対する重篤な損傷、中枢神経系への影響、麻酔作用などである。

網膜細動脈瘤は高血圧のある場合に生じるおそれがある疾病である。脳血管障害もどちらかといえば生活習慣病である。

(4)正しい。二硫化炭素による動脈硬化は過去 10 回の公表問題では初出。二硫化炭素は躁うつ病、多発性神経障害、神経衰弱等を発症させることはよく知られている。しかし、動脈硬化を進行させることはあまり知られておらず、衛生管理者の問題として適切かという疑問は感じる。

(5)誤り。N,N-ジメチルホルムアミドは眼に対する刺激性があるが、視力低下を伴う視神経障害は確認されていない。なお、本物質は発がん性及び生殖毒性がある他、肝臓への障害、皮膚に対する刺激性などがあると考えられている。

2024年04月06日執筆