問14 電離放射線による健康影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。
(2)造血器、消化管粘膜など細胞分裂の頻度の高い細胞が多い組織・臓器は、一般に、電離放射線の影響を受けやすい。
(3)電離放射線に被ばく後、30日以内に現れる造血器障害は、急性障害に分類される。
(4)電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。
(5)電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確率的影響に分類され、症状の程度は線量に依存する。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2024年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
他の問題の解説をご覧になる場合は、下表の左欄、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2024年04月公表問題 | 問14 | 難易度 | 電離放射線の基本的な知識問題。過去の公表問題の学習で正答可能である。 |
---|---|---|---|
電離放射線と健康影響 | 3 |
問14 電離放射線による健康影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。
(2)造血器、消化管粘膜など細胞分裂の頻度の高い細胞が多い組織・臓器は、一般に、電離放射線の影響を受けやすい。
(3)電離放射線に被ばく後、30日以内に現れる造血器障害は、急性障害に分類される。
(4)電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。
(5)電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確率的影響に分類され、症状の程度は線量に依存する。
正答(5)
【解説】
(1)正しい。これは解説するまでもないであろう。身体的影響は、組織維持の要である細胞集団が傷つくことによって生じる。嘔吐、脱毛、造血機能の低下、白内障などがある。遺伝的影響については、動物実験によって突然変異が現れることが科学的に確認されている。
(2)正しい。ベルゴニー・トリボンドの法則によれば、細胞分裂頻度が高く、将来、細胞分裂の回数が大きく、形態及び機能的に未分化である組織は、放射線感受性が高いとされる。造血器、消化管粘膜など細胞分裂の頻度の高い細胞が多い組織・臓器は、一般に、電離放射線の影響を受けやすい。
(3)正しい。被爆から発症までが数週間までのものを急性影響と呼び、数か月以上のものを晩発性影響と呼ぶ。電離放射線に被ばく後、30日以内に現れる造血器障害は、急性障害に分類される。
(4)正しい。電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。なお、晩発性影響は確率的影響であることが多いが例外もあり、例外の一つが本肢で問われている白内障である。
(5)誤り。電離放射線による健康への影響は、確定的影響と確率的影響に分けられる。確定的影響では、線量が大きいほど障害の程度が重篤となり、確率的影響では、線量が大きいほど障害に罹患する確率が高くなる。