第1種衛生管理者試験 2024年04月公表 問06

有害物質等に係る作業を規制する関係規則




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2024年04月公表問題 問06 難易度 過去の公表問題にない種類の問題。参考書にも記述はないのではないか。試験場で考えて正答したい。
有害業務等と特別規則

問6 有害物質等に係る作業とこれを規制している労働衛生関係規則との組合せとして、正しいものは次のうちどれか。

(1) ホルムアルデヒドを取り扱う作業 ・・・ 有機溶剤中毒予防規則
(2) レーザー光線による金属の加工の作業 ・・・ 電離放射線障害防止規則
(3) ドライアイスを使用して冷凍を行う冷凍庫の内部における作業 ・・・ 酸素欠乏症等防止規則
(4) 窒素を入れたことのある化学設備のタンク内を点検する作業 ・・・ 高気圧作業安全衛生規則
(5) 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの作業 ・・・ 粉じん障害防止規則

正答(3)

【解説】

これまでの衛生管理者試験の公表問題にはなかったタイプである。参考書にも、おそらく重要だと強調してはかかれていないだろう。その有害業務の種類と書く特別規則の目的から、試験場で判断して回答するしかなかっただろう。

なお、各特別規則の名称には誤りはない。また、今後は正答できなければならない。

(1)誤り。ホルムアルデヒドは特定化学物質(特定第二類物質)である。物質としての規制は特化則で行っており、SDS、容器等への表示、リスクアセスメントなどは安衛則で規制している。

【労働安全衛生法施行令】

別表第三 特定化学物質 (第六条、第十五条、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 (略)

 第二類物質

1~31 (略)

31の2 ホルムアルデヒド

32~37 (略)

 (略)

【特定化学物質障害予防規則】

(定義等)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 (略)

 第二類物質 令別表第三第二号に掲げる物をいう。

 特定第二類物質 第二類物質のうち、令別表第三第二号1、2、4から7まで、8の2、12、15、17、19、19の4、19の5、20、23、23の2、24、26、27、28から30まで、31の2、34、35及び36に掲げる物並びに別表第一第一号、第二号、第四号から第七号まで、第八号の二、第十二号、第十五号、第十七号、第十九号、第十九号の四、第十九号の五、第二十号、第二十三号、第二十三号の二、第二十四号、第二十六号、第二十七号、第二十八号から第三十号まで、第三十一号の二、第三十四号、第三十五号及び第三十六号に掲げる物をいう。

四~六 (略)

 (略)/p>

2及び3 特定化学物質 第一類物質、第二類物質及び第三類物質をいう。

(2)誤り。レーザーは電離放射線ではなく(※)、電離則では規制していない。

※ 環境省のサイト「放射線の種類」を参照

なお、レーザー光線については、昭和61年1月27日基発第39号(改正 平成17年3月25日基発第0325002号「レーザー光線による障害の防止対策について」によって労働災害防止対策が行われている。

(3)正しい。ドライアイスを使用して冷凍を行う冷凍庫の内部における作業は、酸素欠乏危険作業として酸欠則によって規制されている。

【労働安全衛生法施行令】

別表第六 酸素欠乏危険場所 (第六条、第二十一条関係)

一~九 (略)

 ドライアイスを使用して冷蔵、冷凍又は水セメントのあく抜きを行つている冷蔵庫、冷凍庫、保冷貨車、保冷貨物自動車、船倉又は冷凍コンテナーの内部

十一及び十二 (略)

【酸素欠乏症等防止規則】

(定義)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~五 (略)

 酸素欠乏危険作業 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号。以下「令」という。)別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所(以下「酸素欠乏危険場所」という。)における作業をいう。

七及び八 (略)

(4)誤り。窒素を入れたことのある化学設備のタンク内を点検する作業は、酸素欠乏危険作業として酸欠則で規制されている。たんに窒素を入れたことがあるというだけで圧力を上げたわけでもないのに、高圧則で規制されるはずがないだろう。

【労働安全衛生法施行令】

別表第六 酸素欠乏危険場所 (第六条、第二十一条関係)

一~十 (略)

十一 ヘリウム、アルゴン、窒素、フロン、炭酸ガスその他不活性の気体を入れてあり、又は入れたことのあるボイラー、タンク、反応塔、船倉その他の施設の内部

十二 (略)

【酸素欠乏症等防止規則】

(定義)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~五 (略)

 酸素欠乏危険作業 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号。以下「令」という。)別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所(以下「酸素欠乏危険場所」という。)における作業をいう。

七及び八 (略)

(5)誤り。自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの作業は、鉛業務として鉛則で規制されている。はんだ付けで粉じん発生しない。粉じん則で規制をかけるはずがない。

【労働安全衛生法施行令】

別表第四 鉛業務 (第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一~十二 (略)

十三 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務(臨時に行なう業務を除く。次号から第十六号までにおいて同じ。)

十四~十八 (略)

備考 (略)

【鉛中毒予防規則】

(定義)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一~四 (略)

 鉛業務 次に掲げる業務並びに令別表第四第八号から第十一号まで及び第十七号に掲げる業務をいう。

イ~チ (略)

 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務

ヌ~ワ (略)

2024年04月05日執筆