第1種衛生管理者試験 2024年04月公表 問03

定期自主検査の実施義務の対象




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2024年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2024年04月公表問題 問03 難易度 定期自主検査の対象は広範にわたるが、主要なものは覚えておく。本問は難易度は高いが正答可能な範囲。
定期自主検査の対象

問3 次の装置のうち、法令上、定期自主検査の実施義務が規定されているものはどれか。

(1)木工用丸のこ盤を使用する屋内の作業場所に設けた局所排気装置

(2)塩酸を使用する屋内の作業場所に設けた局所排気装置

(3)エタノールを使用する作業場所に設けた局所排気装置

(4)トルエンを重量の10%含有する塗料を用いて塗装する屋内の作業場所に設けた局所排気装置

(5)アンモニアを使用する屋内の作業場所に設けたプッシュプル型換気装置

正答(4)

【解説】

定期自主検査の実施は安衛法第45条によって義務付けられ、安衛令第15条第1項に対象が定められている。そして、同項第九号は、局所排気装置等のうち省令で定めるものを定期自主検査の対象としている。

これを受けて、各特別側で定期自主検査を実施すべき局所排気装置等が定められており、粉じん則においては第17条第1項でこれを定めている。同項は第4条等に定める局所排気装置等を定期自主検査の対象と定めている。

【労働安全衛生法】

(定期自主検査)

第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

2~4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第15条 法第45条第1項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

一から八 (略)

 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの

十及び十一 (略)

 (略)

別表第六の二 有機溶剤 (第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一~三十六 (略)

三十七 トルエン

三十八~五十五 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 有機溶剤 労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)別表第六の二に掲げる有機溶剤をいう。

二及び三 (略)

 第二種有機溶剤等 有機溶剤等のうち次に掲げる物をいう。

 令別表第六の二第一号から第十三号まで、第十五号から第二十二号まで、第二十四号、第二十五号、第三十号、第三十四号、第三十五号、第三十七号、第三十九号から第四十二号まで又は第四十四号から第四十七号までに掲げる物

 イに掲げる物のみから成る混合物

 イに掲げる物と当該物以外の物との混合物で、イに掲げる物又は前号イに掲げる物を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するもの(前号ハに掲げる物を除く。)

 (略)

 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。

イ~チ (略)

 有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務(ヲに掲げる業務に該当する塗装の業務を除く。)

ヌ~ヲ (略)

 (略)

(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)

第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第1条第1項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第13条の2第1項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。

(局所排気装置の定期自主検査)

第20条 令第15条第1項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第5条又は第6条の規定により設ける局所排気装置とする。

 事業者は、前項の局所排気装置については、1年以内ごとに1回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、1年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。

一~七 (略)

 (略)

(1)規定されていない。木工用丸のこ盤は粉じん則の対象ではなく(粉じん則別表第1参照)、局所排気装置の定期自主検査は義務付けられていない。

(2)規定されていない。塩化水素(塩酸)は特化則の第3類物質であり、第3類物質を使用する屋内の作業場所に局所排気装置の設置は義務付けられていない(第1類物質については特化則第3条、第2類物質については特化則第4条があるが、第3類物質にはこの種の局所排気装置等の設置を義務付ける規定はない。)。従って、局所排気装置の定期自主検査は義務付けられていない。

(3)エタノールは有機則の対象ではなく(安衛令別表第6の2参照)、局所排気装置の定期自主検査は義務付けられていない。

(4)規定されている。トルエンを重量の10%含有する塗料は有機則第1条第1項第六号ハにより、第2種有機溶剤である。有機則第20条第2項により、屋内作業場等において第2種有機溶剤を用いて塗装する作業を行う場所に設置した局所排気装置は、定期に自主検査を行わなければならない。

(4)アンモニアは特化則の第3類物質であり、(2)の解説に示したように、特化則第29条による局所排気装置の定期自主検査は義務付けられていない。

2024年04月02日執筆