第1種衛生管理者試験 2023年4月公表 問35

血液(血漿、赤血球、白血球など)




問題文
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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年10月公表問題 問35 難易度 血液に関する基本的な知識問題である。過去問と全く同じであり正答できなければならない。
血液

問35 血液に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)血液は、血漿しょう成分と有形成分から成り、血漿しょう成分は血液容積の約 55 %を占める。

(2)血漿しょう中のたん白質のうち、アルブミンは血液の浸透圧の維持に関与している。

(3)白血球のうち、好中球には、体内に侵入してきた細菌や異物を貪食する働きがある。

(4)血小板のうち、リンパ球には、Bリンパ球、Tリンパ球などがあり、これらは免疫反応に関与している。

(5)血液の凝固は、血漿しょう中のフィブリノーゲンがフィブリンに変化し、赤血球などが絡みついて固まる現象である。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。血液は、液体成分である血漿と、有形成分である血球(細胞成分:赤血球、白血球、血小板)からなっている。そして、血液の約 55 %血漿、残りの約 45 %は有形成分である。

(2)正しい。まず、アルブミンが血漿中の蛋白質であることは正しい。

次に、「浸透圧」について簡単に説明しよう。液体が半透膜によって2つの区分に分けられており、その液体にはある物質(溶質)が溶けているが、その物質は半透膜を透過できないとしよう。そのとき液体は、半透膜を通して濃度の薄い方から濃い方へ移動し、両側の濃度を等しくしようとするのである。

分かりにくければ、半透膜に液体の分子は通過できるが溶質の分子は通過できない孔があると考えて欲しい。一定期間に濃度の低い側(10mol%としよう)からは液体分子が9回、溶質分子は1ぶつかる。その間に濃度の高い側(60mol%としよう)からは、液体分子が4回、溶質分子は6ぶつかる。液体分子は孔を通り抜けられるので、差し引き5つの分子が、濃度が高い側に異動するのである。すなわち、濃度の低い側から濃度の高い側に液体が浸透する圧力があるように見える。これが「浸透圧」である。

さて、アルブミンは血管外に60%程度存在するが、血管の膜を透過することはできず、血管の近くではアルブミン濃度は血管の外側の方が低い。そのため、濃度の濃い血管の内側への水分の移動(浸透)に寄与しているのである。

(3)正しい。白血球には、主に好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の5種類がある。好中球は、白血球中の約5割を占め、主に生体内に侵入してきた細菌や異物を貪食どんしょく(取り込む)して分解し、感染を防ぐ役割をしている。なお、単球にも同様な働きがある。

(4)誤り。B細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)、NK(ナチュラルキラー)細胞などのリンパ球は、白血球の一部である。血小板ではない。なお、これらが免疫反応に関与していることは正しい。

(5)正しい。フィブリノーゲンからフィブリン・モノマーが作られ、それが重合して繊維素となったものがフィブリンである。血液の凝固反応とは、フィブリノーゲンがフィブリンに変化する現象である。

2023年10月06日執筆