問26 労働基準法に定める妊産婦等に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
ただし、常時使用する労働者数が 10 人以上の規模の事業場の場合とし、管理監督者等とは、「監督又は管理の地位にある者等、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用除外者」をいうものとする。
(1)時間外・休日労働に関する協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出ている場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、時間外・休日労働をさせてはならない。
(2)フレックスタイム制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。
(3)妊産婦が請求した場合には、深夜業をさせてはならない。
(4)妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
(5)原則として、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2023年10月公表問題 | 問26 | 難易度 | 労基法上の妊産婦等の保護に関する基本的な知識問題である。確実に正答できる必要がある。 |
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妊産婦等の保護 | 3 |
問26 労働基準法に定める妊産婦等に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
ただし、常時使用する労働者数が 10 人以上の規模の事業場の場合とし、管理監督者等とは、「監督又は管理の地位にある者等、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用除外者」をいうものとする。
(1)時間外・休日労働に関する協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出ている場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、時間外・休日労働をさせてはならない。
(2)フレックスタイム制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。
(3)妊産婦が請求した場合には、深夜業をさせてはならない。
(4)妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
(5)原則として、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。
正答(2)
【解説】
(1)正しい。労基法第36条により時間外・休日労働に関する協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出ている場合であっても、同法第 66 条第2項の規定により、妊産婦が請求した場合には、時間外・休日労働をさせてはならない。
なお、管理監督者等の場合は、同法第41条(第二号)により、そもそも労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されない。
【労働基準法】
第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
② (略)
(時間外及び休日の労働)
第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
②~⑪ (略)
(労働時間等に関する規定の適用除外)
第41条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 (略)
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 (略)
第66条 (第1項 略)
② 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
③ (略)
(2)誤り。フレックスタイム制は、労基法第32条の3に規定されているが、これについて、妊産婦に適用しないとする規定は存在していない。フレックスタイムは、労働者が自ら労働時間を決定できるものであるから、これの適用を外したのでは保護にならないであろう。
【労働基準法】
第32条の3 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第32条第1項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、1週間において同項の労働時間又は1日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。
一~五 (略)
②~④ (略)
第66条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第32条の2第1項、第32条の4第1項及び第32条の5第1項の規定にかかわらず、1週間について第32条第1項の労働時間、1日について同条第2項の労働時間を超えて労働させてはならない。
②及び③ (略)
(3)正しい。なお、妊産婦が請求した場合の深夜業の禁止は、労基法第6章の2にある第66条第3項に規定されており、管理監督者も含まれる。
【労働基準法】
第66条 (第1項及び第2項 略)
③ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。
(4)正しい。労基法第65条第3項に、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならないと定められている。
【労働基準法】
(産前産後)
第65条 (第1項及び第2項 略)
③ 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
(5)正しい。労基法第65条第2項により、事業者は、原則として、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。
【労働基準法】
(産前産後)
第65条 (第1項 略)
② 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③ (略)