問19 有害物質を発散する屋内作業場の作業環境改善に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)有害物質を取り扱う装置を構造上又は作業上の理由で完全に密閉できない場合は、装置内の圧力を外気圧より高くする。
(2)局所排気装置を設置する場合は、給気量が不足すると排気効果が低下するので、排気量に見合った給気経路を確保する。
(3)有害物質を発散する作業工程では、局所排気装置の設置を密閉化や自動化より優先して検討する。
(4)局所排気装置を設ける場合、ダクトが細すぎると搬送速度が不足し、太すぎると圧力損失が増大することを考慮して、ダクト径を決める。
(5)局所排気装置に設ける空気清浄装置は、一般に、ダクトに接続された排風機を通過した後の空気が通る位置に設置する。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2023年10月公表問題 | 問19 | 難易度 | いわゆる新傾向問題で過去に類似の出題例がない。しかし、常識的な内容であり、正答しておきたい問題。 |
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作業環境の改善 | 3 |
問19 有害物質を発散する屋内作業場の作業環境改善に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)有害物質を取り扱う装置を構造上又は作業上の理由で完全に密閉できない場合は、装置内の圧力を外気圧より高くする。
(2)局所排気装置を設置する場合は、給気量が不足すると排気効果が低下するので、排気量に見合った給気経路を確保する。
(3)有害物質を発散する作業工程では、局所排気装置の設置を密閉化や自動化より優先して検討する。
(4)局所排気装置を設ける場合、ダクトが細すぎると搬送速度が不足し、太すぎると圧力損失が増大することを考慮して、ダクト径を決める。
(5)局所排気装置に設ける空気清浄装置は、一般に、ダクトに接続された排風機を通過した後の空気が通る位置に設置する。
正答(2)
【解説】
(1)誤り。有害物質を取り扱う装置を構造上又は作業上の理由で完全に密閉できない場合に、装置内の圧力を外気圧より高くすると内部の有害な物質が外に漏れてしまう。
このような場合は内部の気圧を外部より低くする必要がある。
(2)正しい。かつての作業場の機密性が低かった時代は問題にもならなかったが、空調効率を上げるために作業場の機密性がよくなると、局所排気装置の効率が問題となるようになった。
機密性の良い作業場で、局所排気装置を設置する場合は、作業場への給気量が不足すると排気効果が低下する。このため、排気量に見合った給気経路を確保する必要がある。
(3)誤り。有害物質を発散する作業工程では、できるだけ安全性の高い対策を立てる必要がある。密閉化や自動化は、局所排気装置の設置をより安全性が高いので優先して検討する。
(4)誤り。局所排気装置を設ける場合、ダクトが細すぎると圧力損失が増大し、太すぎると搬送速度(風速)が不足する。ダクトが細い場合と太い場合の説明が逆である。
圧力損失が増大すればエネルギー効率が低下する。一方、搬送速度が小さくなると、粉じんの場合は落下してダクト内に堆積するのである。
(5)誤り。局所排気装置に設ける空気清浄装置は、一般に、ダクトに接続された排風機が通過する前の空気が通る位置に設置する。排風機を汚れた空気が通過すると排風機が腐食するなどの悪影響を与えることがあるからである。
【有機溶剤中毒予防規則】
(排風機等)
第15条 事業者は、局所排気装置の排風機については、当該局所排気装置に空気清浄装置が設けられているときは、清浄後の空気が通る位置に設けなければならない。ただし、吸引された有機溶剤の蒸気等による爆発のおそれがなく、かつ、フアンの腐食のおそれがないときは、この限りでない。
2 (略)