第1種衛生管理者試験 2023年4月公表 問17

レーザー光線




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年10月公表問題 問17 難易度 過去問にないいわゆる新傾向問題。今後は出題の可能性は高い。正答できるようにしておきたい。
レーザー光線の特徴等

問17 レーザー光線に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)レーザー光線は、おおむね1nmから180nmまでの波長域にある。

(2)レーザー光線は、単一波長で位相のそろった人工光線である。

(3)レーザー光線の強い指向性や集束性を利用し、高密度のエネルギーを発生させることができる。

(4)出力パワーが最も弱いクラス1又はクラス2のレーザー光線は、可視光のレーザーポインタとして使用されている。

(5)レーザー光線にさらされるおそれのある業務は、レーザー機器の出力パワーなどに基づくクラス分けに応じた労働衛生上の対策を講じる必要がある。

正答(1)

【解説】

レーザ(LASER)とは、Light Amplification by Stimulated Emisson of Radiation の略で、直訳すれば「放射線の誘導放出による光の増幅」となる。

レーザー光線は、単一波長で位相がそろっており、指向性が高いことが知られている。

(1)誤り。「レーザー光線による障害防止対策要綱」(平成17年3月25日基発第0325002号「レーザー光線による障害の防止対策について)は、対象となるレーザー光線の波長域を 180nm から1mm までとしている。

なお、そもそもレーザーは波長で定義づけられるわけではない。様々な波長のレーザーがあり、波長によって、可視光レーザー(波長は380~780nm)、赤外線レーザー(780~1,700nm 程度)、紫外線レーザー(~380nm)、X線レーザー(0.1~10nm)などに分類される。

(2)正しい。レーザー光線は、単一波長で位相のそろった人工光線である。

(3)正しい。レーザーは、指向性に優れるので、スポットを絞りやすく、エネルギー集中度を高めることが容易なので、高密度のエネルギーを発生させることができる。工業的にも、レーザー溶接やレーザー切断などで実用化されている。

レーザー切断は、金属・非金属を問わず切断が可能で、かつてはレーザの出力を大きくすることができなかったため、薄板の切断しかできなかったが、技術の進歩により、出力が増大し、厚板の切断でも可能となっている。

(4)正しい。レーザーのクラスは、JIS C 6802:2014年によれば、クラス1及びクラス1M、クラス1C、クラス2及びクラス2M、クラス3R、クラス3B並びに4に分類されている。クラス1及びクラス1Mは直接ビーム内観察を長時間行っても安全なレベルであり、クラス2及びクラス2Mは短時間の裸眼への被ばくは安全なレベルである。

レーザーポインタは、クラス2Mまででなければならず、2001年以降は消費生活用製品安全法によってクラス3R以上のレーザーポインタの製造販売は禁止されている。

(5)正しい。「レーザー光線による障害防止対策要綱」により、レーザー光線にさらされるおそれのある業務は、レーザー機器の出力パワーなどに基づくクラス分けに応じた労働衛生上の対策を講じる必要がある。

2023年10月06日執筆