第1種衛生管理者試験 2023年4月公表 問16

金属などによる健康障害




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年10月公表問題 問16 難易度 金属による中毒に関する基本的な知識問題。頻出事項でもあり、正答できなければならない。
金属などによる健康障害

問16 金属などによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ベリリウム中毒では、接触皮膚炎、肺炎などの症状がみられる。

(2)マンガン中毒では、歩行障害、発語障害、筋緊張こう進などの症状がみられる。

(3)クロム中毒では、低分子たん白尿、歯への黄色の色素沈着、視野狭さくなどの症状がみられる。

(4)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。

(5)金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害、手指の震えなどの症状がみられる。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。ベリリウムは発がん性物質である。また長期のばく露によりベリリウム肺を、短期ばく露により気道の炎症や重度の化学性肺炎を引き起こすこともある。また、ベリリウムは感作性があり、呼吸器に対してアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ、皮膚に対してアレルギー性皮膚反応を引き起こす恐れがある。

(2)正しい。マンガン中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状の他、筋のこわばり、言語障害、歩行障害、震え(振せん)等の神経障害などのパーキンソン病に似た症状がみられる。

(3)誤り。クロム中毒では、精神・神経症状(初期には神経衰弱様の症状などが現われ、その後錐体外路症候(パーキンソン症候群様症状)を中核とした多彩な精神症状が、進行性に出現してくる。)、肺炎などが挙げられる。低分子蛋白尿、歯への黄色の色素沈着、視野狭窄などの症状がみられるという報告はない。

(4)正しい。カドミウムはいわゆる「イタイイタイ病」の原因となった物質であり、急性症例の主要症状には、上気道炎、肺炎や肺水腫による呼吸困難がある。また、長期曝露による慢性影響としては、腎臓への影響などが挙げられる。なお、骨軟化がみられることも覚えておく必要がある。

(5)正しい。金属水銀中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、震え(振せん)、歩行障害等の神経障害、焦燥感、記憶減退、不眠等の精神障害、口腔粘膜障害又は腎障害などが現れる。

2023年10月06日執筆