第1種衛生管理者試験 2023年4月公表 問12

労働衛生の3管理(作業管理に該当するもの)




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2023年10月公表問題 問12 難易度 作業管理に該当するものを問う基本的な問題である。確実に正答しなければならない問題。
作業管理に該当するもの

問12 労働衛生対策を進めていくに当たっては、作業環境管理、作業管理及び健康管理が必要であるが、次のAからEの対策例について、作業管理に該当するものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 座位での情報機器作業における作業姿勢は、椅子に深く腰をかけて背もたれに背を十分あて、履き物の足裏全体が床に接した姿勢を基本とする。

B 有機溶剤業務を行う作業場所に設置した局所排気装置のフード付近の気流の風速を測定する。

C 放射線業務を行う作業場所において、外部放射線による実効線量を算定し、管理区域を設定する。

D ずい道建設工事の掘削作業において、土石又は岩石を湿潤な状態に保つための設備を稼働する。

E 介護作業等腰部に著しい負担のかかる作業に従事する労働者に対し、腰痛予防体操を実施する。

(1)A,B

(2)A,C

(3)B,C

(4)C,D

(5)D,E

正答(2)

【解説】

労働衛生3管理の区別をせよという、この種の問題には解法のコツがある。まず、その対策が作業者が居ないときでも実施可能であれば「作業環境管理」に位置付ける。次に、作業者の体内の状況に関するものを「健康管理」とし、残ったものを「作業管理」と位置付けるのである。ただし特殊健康診断のうち生物学的モニタリングに関するものは「作業管理」にする。

これで衛生管理者の試験問題程度であれば、ほぼ正答できる。ただし、これは受験対策のコツであって正しい見分け方ではないことは忘れないこと。

なお、誤解しやすいものとして個人ばく露測定がある。これは作業者が居なければ実施できないので、このコツに従って「作業管理」に位置付けておけば衛生管理者試験では正答になる。実は、厳密には個人ばく露濃度測定は「作業環境管理」にも「作業管理」にもなるのだが、教科書的には「作業管理」に位置付けられている。

A 作業管理である。作業姿勢の改善は作業者がいなければ実施することは不可能である。また、直接、作業者の体内の状況に関することをするわけでもない。

B 作業環境管理である。有機溶剤業務を行う作業場所に設置した局所排気装置のフード付近の吸い込み気流の風速を測定することは、作業者が居なくても実施できる。

C 作業管理である。作業者が居なければ管理区域の設定をしても意味がない。ルールの策定は作業管理だと覚えておこう。

D 作業環境管理である。土石又は岩石を湿潤な状態に保つための設備を稼働することは作業者が居なくても実施できる。

E 健康管理である。腰痛予防体操は、作業者の体内の状況に関するので「健康管理」に該当する。

2023年10月03日執筆