第1種衛生管理者試験 2023年4月公表 問28

メンタルヘルス指針




問題文
トップ
未来を指し示す女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、下表の左欄、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2023年04月公表問題 問28 難易度 過去公表問題からやや形式を変えた問題である。しかし、内容は過去問で問われていることと同様である。
メンタルヘルス

問28 厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づくメンタルヘルス対策に関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A メンタルヘルスケアを中長期的視点に立って継続的かつ計画的に行うため策定する「心の健康づくり計画」は、各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置付けることが望ましい。

B 「心の健康づくり計画」の策定に当たっては、プライバシー保護の観点から、衛生委員会や安全衛生委員会での調査審議は避ける。

C 「セルフケア」、「家族によるケア」、「ラインによるケア」及び「事業場外資源によるケア」の四つのケアを効果的に推進する。

D 「セルフケア」とは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減する、又はこれに対処することである。

(1)A,B

(2)A,C

(3)A,D

(4)B,C

(5)C,D

正答(4)

【解説】

本問は、労働者の心の健康の保持増進のための指針(以下、本問の解説中において「メンタルヘルス指針」という。)からの出題である。

A 正しい。メンタルヘルス指針に次のように記載されている。また、常識的に考えても、間違っていると考える余地がない。

4 心の健康づくり計画

メンタルヘルスケアは、中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要であり、また、その推進に当たっては、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に則した取組を行うことが必要である。このため、事業者は、3に掲げるとおり衛生委員会等において十分調査審議を行い、心の健康づくり計画を策定することが必要である。心の健康づくり計画は、各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置付けることが望ましい

(以下略)

※ 下線強調引用者

※ 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2006年(2015年最終改正))

B 誤り。メンタルヘルス指針に次のように記載されている。また、常識的に考えても、「心の健康づくり計画」は事業場全体の行動計画であり、その策定を衛生委員会や安全衛生委員会で調査審議してもプライバシーの問題が起きるわけがない。

4 心の健康づくり計画

(略)

このため、事業者は、以下に定めるところにより、自らがストレスチェック制度を含めた事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進することを表明するとともに、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「衛生委員会等」という。)において十分調査審議を行い、メンタルヘルスケアに関する事業場の現状とその問題点を明確にし、その問題点を解決する具体的な実施事項等についての基本的な計画(以下「心の健康づくり計画」という。)を策定・実施する(以下略)。

※ 下線強調引用者

※ 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2006年(2015年最終改正))

C 誤り。メンタルヘルス指針に次のように記載されている。また、常識的に考えても、メンタルヘルス指針は事業場で取組むべき事項を示したものであり、「家族によるケア」が含まれるわけがない。

メンタルヘルス対策を取り組むうえで、家族の理解と協力を求めることは重要であるが、家族の状況は様々であり、その協力を得られるとは限らない。そのような事項が国の指針に示されることは不自然だと気付かなければならない。

2 メンタルヘルスケアの基本的考え方

(略)これらの取組においては、教育研修、情報提供及び「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」並びに「事業場外資源によるケア」の4つのメンタルヘルスケアが継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要である。(以下略)

※ 下線強調引用者

※ 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2006年(2015年最終改正))

D 正しい。メンタルヘルス指針に次のように記載されている。なお、指針に示されているのは、事業者が労働者による「セルフケア」を支援することであり、労働者の自己責任などと言っているのではない。

5 4つのメンタルヘルスケアの推進

(略)労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減するあるいはこれに対処する「セルフケア」(以下略)

※ 厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(2006年(2015年最終改正))
2023年04月15日執筆