第1種衛生管理者試験 2023年4月公表 問15

騒音及びそれによる健康障害




問題文
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未来を指し示す女性

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2023年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

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2023年04月公表問題 問15 難易度 過去問を多少ひねってあるが過去問の学習で正答可能な問題。正答できる必要がある。
騒音による健康障害

問15 作業環境における騒音及びそれによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)人が聴くことができる音の周波数は、およそ20~20,000Hzである。

(2)音圧レベルは、通常、その音圧と人間が聴くことができる最も小さな音圧(20μPa)との比の常用対数を 20 倍して求められ、その単位はデシベル(dB)で表される。

(3)等価騒音レベルは、単位時間(1時間)について10分間ごとのピーク値の騒音レベルを平均化した評価値で、変動する騒音に対して適用される。

(4)騒音性難聴では、通常、会話音域より高い音域から聴力低下が始まる。

(5)騒音性難聴は、音を神経に伝達する内耳の聴覚器官の有毛細胞の変性によって起こる。

正答(3)

【解説】

(1)正しい。人が聴くことのできる音の周波数(可聴周波数)は、個人差もあるが、下は20Hz 程度、上は15,000 ~ 20,000Hz 程度といわれている。

(2)正しい。騒音レベルとは人間の感覚的なものを加味した量であるが、音圧レベルとは物理量で、具体的には音の圧力である。音圧レベルは、通常、その音圧と基準値(人間が聴くことができる最も小さな音圧=20μPa)との比の常用対数を20倍して求められ、その単位はデシベル(dB)である。

L=20 log P (dB)
P0

L:音圧レベル  P:音圧レベル  P0:基準値(2×10-5Pa)

(3)誤り。等価騒音レベルとは、不規則に変化する騒音を評価するための指数である。「測定時間内における変動騒音の平均2乗音圧に等しい平均2乗音圧を与える連続定常音の騒音レベル」と定義される。

なお、連続測定の場合、測定時間をt1からt2までとし、測定された音圧をPA(t)、基準音圧をP0とすると、等価騒音レベルLaeqは、

L aeq = 10 log 1 t 2 - t 1 t1 t2 P A 2 P 0 2 dt

となる(覚えなくてよい)。

(4)正しい。会話音域は個人差や性差もあるが、広く見ても250Hzから4,000Hz程度で、通常は 500Hz から 2,000Hz 程度である。そして騒音性難聴の初期には、4,000 Hz 付近のdip型(c5dip)の難聴(※)が進行する。このため、騒音性難聴の初期には症状に気付きにくい。

※ 難聴には、高音障害型、低音障害型、水平型、dip型などがある。このうちの dip 型とは特定の周波数領域の音が聞こえにくくなり、それより高い音と低い音の聴力低下はそれほどでもないことを言う。そして、c5は、4,000Hz(正確には4,186.01Hz)を指す。

なお、c5のcは小文字である。大文字の場合は周波数が異なる。別名、cvともいう。

(5)正しい。有毛細胞とは、内耳の蝸牛内にあって、音によるリンパ液の振動を電気的な信号に変えて蝸牛神経に伝える器官である。85dB以上の音を、長期にわたって聞いていると、有毛細胞が変性して破壊されてしまう。これが騒音性難聴である。

2023年04月13日執筆