問13 潜水作業、高圧室内作業などの作業における高圧の影響又は高圧環境下から常圧に戻る際の減圧の影響により、直接には発症しない健康障害は次のうちどれか。
(1)酸素中毒
(2)一酸化炭素中毒
(3)炭酸ガス(二酸化炭素)中毒
(4)窒素酔い
(5)減圧症
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2023年04月公表問題 | 問13 | 難易度 | 減圧による健康影響は、過去にほとんど出題されていない。やや難問だったか。 |
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減圧症 | 5 |
問13 潜水作業、高圧室内作業などの作業における高圧の影響又は高圧環境下から常圧に戻る際の減圧の影響により、直接には発症しない健康障害は次のうちどれか。
(1)酸素中毒
(2)一酸化炭素中毒
(3)炭酸ガス(二酸化炭素)中毒
(4)窒素酔い
(5)減圧症
正答(2)
【解説】
(1)発症し得るとしておく。かなり疑問はあるが、(2)が明らかに誤りなのでこちらは正しい肢としておく。高圧化で酸素分圧の高いガス(酸素分圧がほぼ 1.4 気圧以上)を吸入すると、酸素中毒を起こす。減圧による健康影響というわけではない。
なお、酸素中毒は減圧による健康影響というより、減圧症に対する治療としての高気圧酸素治療の副作用として問題となる。
(2)発症しない。減圧するからといって、どこからか一酸化炭素が発生するわけではない。一酸化炭素中毒が減圧による症状として現れることはない。
ただし、潜水作業等でエアコンプレッサの吸気バルブの近くに内燃機関があると一酸化炭素中毒を起こすことがある。高圧作業の実務においては、注意しなければならない。
(3)発症し得るとしておく。かなり疑問はあるが、(2)が明らかに誤りなのでこれも正しい肢としておく。潜水作業における炭酸ガス(二酸化炭素)中毒は、スクーバ潜水中に呼吸ガスの消費量を少なくする目的で呼吸回数を故意に減らすなど二酸化炭素の排出が充分でない場合や、二酸化炭素濃度の多い呼吸ガスを呼吸した場合に発生し得る。減圧による健康影響というわけではない。
(4)発症し得るとしておく。かなり疑問はあるが、(2)が明らかに誤りなのでこれも正しい肢としておく。窒素酔いとは加圧により身体に溶け込んだ窒素が多くなることにより引き起こされるもので、その症状は早ければ潜水直後に現れる。減圧による健康影響というわけではない。
(5)発症し得る。減圧症とは、高気圧の状態で体内に取り込まれた窒素などの生理的不活性ガスが、急速な減圧によって過飽和状態となり、気泡が組織内や血管内に発生することで生じる。
※ 本問の解説の執筆に当たり、鈴木信哉「潜水による障害,再圧治療」を参考にした。