問11 化学物質等による疾病のリスクの低減措置について、法令に定められた措置以外の措置を検討する場合、優先度の最も高いものは次のうちどれか。
(1)化学物質等に係る機械設備等の密閉化
(2)化学物質等に係る機械設備等への局所排気装置の設置
(3)作業手順の改善
(4)化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用
(5)化学反応のプロセス等の運転条件の変更

※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2023年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2023年04月公表問題 | 問11 | 難易度 | 過去問にない問題である。指針の内容を知らないと正答は難しいか。 |
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リスク低減措置 | 5 |
問11 化学物質等による疾病のリスクの低減措置について、法令に定められた措置以外の措置を検討する場合、優先度の最も高いものは次のうちどれか。
(1)化学物質等に係る機械設備等の密閉化
(2)化学物質等に係る機械設備等への局所排気装置の設置
(3)作業手順の改善
(4)化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用
(5)化学反応のプロセス等の運転条件の変更
正答(5)
【解説】
2015年(平成27年)9月18日基発0918第3号「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針について」の別添2「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」についての問いである。
指針の10の(1)には、対策の優先順位として、次のように記されている。
ア 危険性又は有害性のより低い物質への代替、化学反応のプロセス等の運転条件の変更、取り扱う化学物質等の形状の変更等又はこれらの併用によるリスクの低減
イ 化学物質等に係る機械設備等の防爆構造化、安全装置の二重化等の工学的対策又は化学物質等に係る機械設備等の密閉化、局所排気装置の設置等の衛生工学的対策
ウ 作業手順の改善、立入禁止等の管理的対策
エ 化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用
このうちもっとも優先されるべき「ア」の対策は、本質安全化と呼ばれ、危険有害性そのもの(ハザード)をなくしてしまう。あるいは、危険有害性を低下させる対策である。
次に優先されるべき「イ」は、工学的対策と呼ばれ、機械設備による対策、言葉を換えれば人に頼らない対策である。
そして、「ウ」は人に頼る対策で管理的対策と呼ばれる。安全衛生教育の実施、作業手順の作成とその遵守、立入禁止などの、人の行動をより安全なものにする対策である。
もっとも優先順位の低いのが「エ」の個人用保護具の着用である。労働衛生の基本は、個人用保護具を使用しなくてもよい作業環境を実現しようということである。
※ 試験においては気にする必要はないが、現実には、本質安全化の「危険性又は有害性のより低い物質への代替」を最優先と考えることは危険な面がある。というのは、危険有害性の分かっていない化学物質を、危険有害性の低い化学物質だと考えて危険有害性のある物質に代替し、十分な暴露防止対策を取らずに取り扱うと逆効果になるからである。
化学物質等を扱う機械設備の密閉化や局所排気装置の設置は、危険性又は有害性のより低い物質への代替より優先して採用するべきである。
(1)化学物質等に係る機械設備等の密閉化は、指針のイに該当する。従って順位は2位である。
(2)化学物質等に係る機械設備等への局所排気装置の設置は、指針のイに該当する。従って順位は2位である。
(3)作業手順の改善は、指針のウに該当する。従って順位は3位である。
(4)化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用は、指針のエに該当する。従って順位は4位である。
(5)化学反応のプロセス等の運転条件の変更は、指針のアに該当する。従って順位は1位である。