第1種衛生管理者試験 2022年10月公表 問26

労働基準法の妊産婦等の保護規定




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2022年10月公表問題 問26 難易度 労基法上の妊産婦等の保護に関する基本的な知識問題である。確実に正答できる必要がある。
妊産婦等の保護

問26 労働基準法に定める妊産婦に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。

ただし、常時使用する労働者数が10人以上の規模の事業場の場合とし、管理監督者等とは、「監督又は管理の地位にある者等、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用除外者」をいうものとする。

(1)時間外・休日労働に関する協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出ている場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、時間外・休日労働をさせてはならない。

(2)1か月単位の変形労働時間制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。

(3)1年単位の変形労働時間制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週40時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。

(4)妊娠中の女性が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、他の軽易な業務に転換させなければならない。

(5)生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。労基法第36条により時間外・休日労働に関する協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出ている場合であっても、同法第66条第2項の規定により、妊産婦が請求した場合には、時間外・休日労働をさせてはならない。

なお、管理監督者等の場合は、同法第41条(第二号)により、そもそも労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されない。

【労働基準法】

第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。

 (略)

(時間外及び休日の労働)

第36条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

②~⑪ (略)

(労働時間等に関する規定の適用除外)

第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

 (略)

 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

 (略)

第66条 (第1項 略)

 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第33条第1項及び第3項並びに第36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。

 (略)

(2)正しい。1か月単位の変形労働時間制は、労基法第32条の4第1項によって定められているが、同法第66条第1項は、この制度を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、1週40時間及び1日8時間を超えて労働させてはならないとしている。なお、管理監督者等については(1)と同じである。

【労働基準法】

第32条の4 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第32条の規定にかかわらず、その協定で第二号の対象期間として定められた期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第1項の労働時間又は特定された日において同条第2項の労働時間を超えて、労働させることができる。

 (略)

 対象期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、1箇月を超え1年以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)

三から五 (略)

②から④ (略)

第66条 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第32条の2第1項、第32条の4第1項及び第32条の5第1項の規定にかかわらず、一週間について第32条第1項の労働時間、一日について同条第2項の労働時間を超えて労働させてはならない。

②及び③ (略)

(3)正しい。1年単位の変形労働時間制も(2)と同様に労基法第32条の4第1項によって定められている。同法第66条第1項により、1年単位の変形労働時間制を採用している場合であっても、妊産婦が請求した場合には、管理監督者等の場合を除き、1週 40 時間、1日8時間を超えて労働させてはならない。

(4)誤り。妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な業務に転換させなければならない。管理監督者等の場合であっても、この規定は除外されない。

【労働基準法】

(産前産後)

第65条 (第1項及び第2項 略)

 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

(5)正しい。労基法第68条の通りである。生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

【労働基準法】

(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)

第68条 使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。

2022年10月06日執筆