問7 じん肺法に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
(1)都道府県労働局長は、事業者等からじん肺健康診断の結果を証明する書面等が提出された労働者について、地方じん肺診査医の診断又は審査によりじん肺管理区分を決定する。
(2)事業者は、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理一であるものについては、3年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
(3)事業者は、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理二又は管理三であるものについては、1年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない
(4)じん肺管理区分が管理四と決定された者は、療養を要する。
(5)事業者は、じん肺健康診断に関する記録及びエックス線写真を5年間保存しなければならない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2022年10月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2022年10月公表問題 | 問07 | 難易度 | じん肺法に基づく措置は過去10回では初出問題である。その意味ではやや難問だったか。 |
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じん肺法に基づく措置 | 4 |
問7 じん肺法に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
(1)都道府県労働局長は、事業者等からじん肺健康診断の結果を証明する書面等が提出された労働者について、地方じん肺診査医の診断又は審査によりじん肺管理区分を決定する。
(2)事業者は、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理一であるものについては、3年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
(3)事業者は、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理二又は管理三であるものについては、1年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない
(4)じん肺管理区分が管理四と決定された者は、療養を要する。
(5)事業者は、じん肺健康診断に関する記録及びエックス線写真を5年間保存しなければならない。
正答(5)
【解説】
じん肺法に関する問題は、過去 10 回の公表問題には含まれていないようである。その意味では難問だったかもしれないが、内容は、基本的な衛生管理者のテキストに書かれていることであり、正答できなければならない問題である。
(1)正しい。じん肺法第2条第2項により、都道府県労働局長は、事業者等からじん肺健康診断の結果を証明する書面等が提出された労働者について、地方じん肺診査医の診断又は審査によりじん肺管理区分を決定する。
【じん肺法】
(事業者によるエックス線写真等の提出)
第12条 事業者は、第7条から第9条の2までの規定によりじん肺健康診断を行つたとき、又は前条ただし書の規定によりエックス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面その他の書面が提出されたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、じん肺の所見があると診断された労働者について、当該エックス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面その他厚生労働省令で定める書面を都道府県労働局長に提出しなければならない。
(じん肺管理区分の決定手続等)
第13条 (第1項 略)
2 都道府県労働局長は、前条の規定により、エックス線写真及びじん肺健康診断の結果を証明する書面その他厚生労働省令で定める書面が提出されたときは、これらを基礎として、地方じん肺診査医の診断又は審査により、当該労働者についてじん肺管理区分の決定をするものとする。
3~5 (略)
(2)正しい。じん肺法第8条第1項(第一号)により、事業者は、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理一であるものについては、3年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
【じん肺法】
(定期健康診断)
第8条 事業者は、次の各号に掲げる労働者に対して、それぞれ当該各号に掲げる期間以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
一 常時粉じん作業に従事する労働者(次号に掲げる者を除く。) 3年
二~四 (略)
2 (略)
(3)正しい。じん肺法第8条第1項(第二号及び第三号)により、事業者は、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理二又は管理三であるものについては、1年以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない
【じん肺法】
(定期健康診断)
第8条 事業者は、次の各号に掲げる労働者に対して、それぞれ当該各号に掲げる期間以内ごとに1回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。
一 (略)
二 常時粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分が管理二又は管理三であるもの 1年
三 常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理二である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く。) 3年
四 (略)
2 (略)
(4)正しい。じん肺法第 23 条により、じん肺管理区分が管理四と決定された者は、療養を要する。
なお、療養とは医師によって治療を受けることを意味する法律用語である。労災保険では、治療によって症状が改善する見込みがなくなった場合、症状固定(治癒)とされて療養給付が打ち切られ、障害(補償)給付に切り替わる。
じん肺は、治療によって症状が改善することはないが、法律によって療養を要する者が定められているのである。
【じん肺法】
(療養)
第23条 じん肺管理区分が管理四と決定された者及び合併症にかかつていると認められる者は、療養を要するものとする。
(5)誤り。事業者は、じん肺法第17条第2項により、じん肺健康診断に関する記録及びエックス線写真を7年間保存しなければならない。5年間ではない。
【じん肺法】
(記録の作成及び保存等)
第17条 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、その行つたじん肺健康診断及び第11条ただし書の規定によるじん肺健康診断に関する記録を作成しなければならない。
2 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の記録及びじん肺健康診断に係るエックス線写真を7年間保存しなければならない。