問37 体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する。
(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの熱の放散が促進される。
(3)体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。
(4)計算上、100gの水分が体重70㎏の人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる。
(5)熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2022年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2022年04月公表問題 | 問37 | 難易度 | 体温調節に関する基本的な問題である。確実に正答できるようにしておこう。 |
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体温の調節 | 3 |
問37 体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する。
(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢進することにより、人体からの熱の放散が促進される。
(3)体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。
(4)計算上、100gの水分が体重70㎏の人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる。
(5)熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがある。
正答(2)
【解説】
(1)正しい。寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量を減らし、血液から熱が逃げる量を減らす。
(2)誤り。暑熱な環境においては、熱の発生量を抑える必要がある。内臓の血流量が低下し体内の代謝活動を抑制することにより、人体からの熱の産生量を抑制する。
(3)正しい。体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを「恒常性」という。
(4)正しい。汗が蒸発すると、気化熱によって体の熱を奪って体温を下げる。水の気化熱は1gにつき約0.58kcalであるから、100gの汗は約58kcalの熱を奪う。一方、人体の比熱は約0.83であり、体重70kgの人の熱容量は70×0.83=58.1kcalとなる。従って、汗が100g蒸発すると、計算上体温は1℃下がる。もちろん、これは計算上のことであって、実際には1℃も下がらない。
(5)正しい。熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われることは正しい。当然であろう。熱の放散が物理的な過程で行われなかったらどんな過程で行われるというのだ。
また、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがあることもその通りである。
なお、不感蒸泄とは、発汗以外の皮膚および呼気からの水分喪失のことである。文献によっては、皮膚からの蒸散のみを指すとするものもある。不感蒸泄の量は、条件により変動するが、常温安静時には健常成人で1日に約900㎖(皮膚から約600㎖、呼気による喪失分が約300㎖)程度と言われる。