第1種衛生管理者試験 2022年4月公表 問33

食中毒




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2022年04月公表問題 問33 難易度 細菌性食中毒は頻出事項だが、過去問とはやや表現が異なる。正答できるようにしておこう。
食中毒

問33 食中毒に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、代表的なものとしてサルモネラ菌によるものがある。

(2)感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、黄色ブドウ球菌によるものがある。

(3)O-157は、腸管出血性大腸菌の一種で、加熱不足の食肉などから摂取され、潜伏期間は3~5日である。

(4)ボツリヌス菌は、缶詰や真空パックなど酸素のない密封食品中でも増殖するが、熱には弱く、60℃、10分間程度の加熱で殺菌することができる。

(5)ノロウイルスによる食中毒は、ウイルスに汚染された食品を摂取することにより発症し、夏季に集団食中毒として発生することが多い。

正答(3)

【解説】

(1)誤り。毒素型食中毒が、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒であることは正しいが、代表的なものは黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などである。サルモネラ菌によるものは感染型に分類される。

(2)誤り。感染型食中毒が、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒であることは正しいが、代表的なものはサルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどである。黄色ブドウ球菌によるものは毒素型に分類される。

(3)正しい。O-157は、腸管出血性大腸菌の一種で、加熱不足の食肉などから摂取され、潜伏期間は3~5日である。

(4)誤り。ボツリヌス菌の芽胞は100℃の加熱に耐えるほど熱に強く、これを死滅させるには、120度、4分以上またはこれと同等の加熱殺菌が必要とされている。60℃、10分間程度の加熱で殺菌することはできない。なお、ボツリヌス菌は毒性の強い神経毒(ボツリヌス毒素)を産生するが、菌そのものは体内に入っても大腸菌によって死滅する。

ボツリヌス菌による食中毒の直接の原因はボツリヌス毒素である。これは比較的低い熱でも失活し、食べる前に80℃で30分程度、100℃なら10分程度、加熱すれば食中毒のリスクは低くなる。

ボツリヌス菌は、ビン詰、缶詰、容器包装詰め食品、保存食品など酸素のない状態の食品が原因となりやすい。毒素は、筋肉の麻痺症状を起こす。重症になると呼吸筋も麻痺して呼吸が困難となって死亡する例もある。

(5)誤り。厚生労働省の「ノロウイルスに関するQ&AのQ1」によれば、ノロウイルスによる食中毒は、「一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します」とされている。夏季に集団食中毒として発生することが多いわけではない。

なお、ウイルスに汚染された食品を摂取することにより発症すること、及び、集団食中毒が多いことは正しい。

2022年04月04日執筆